マイナポイント、ふるさと納税、NISA、医療費控除…。2022年下半期の忘れてはいけない「お金のイベント」カレンダー

2022年度の上半期がそろそろ終わり、10月からは下半期が始まります。「家計管理は順調!」という方、「なかなか思うようにいかない…」という方、さまざまなのではないでしょうか。

下半期になると、なにかと気忙しい年末年始が控えていますが、お金のイベントも盛りだくさんです。中でも、下半期は「節税を意識した行動」に努めましょう。というのも節税は期限までに済ませることがポイントであるため、早めに段取りしておくことが鍵になるからです。

今回の記事では、下半期のお金のイベントを漏れなくまとめます。必要な手続きの準備を行い、お金をより多く手元に残すため、しっかり行動につなげましょう。


お金のイベントを確認しよう

まずは、下半期にどのようなお金のイベントがあるのか、一覧表で確認してみましょう。

●下半期(10月~翌年3月)の主なお金のイベントカレンダー

上記カレンダーは毎年発生するお金のイベントだけでなく、2022年度に特別起こるイベントも入れています。次項でそれぞれ詳しく解説していきます。

9月に社会保険料の改定があり、10月の給与から反映

給与から天引きされる社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険(40歳以上の方のみ対象)、雇用保険などがあります。このうち、健康保険、厚生年金保険、介護保険は、毎年7月に、社会保険料の見直しをする「定時決定」があります。見直しの元になるのは、7月の直近3ヶ月(4月・5月・6月)の給与です。これにより、新たな社会保険料の金額が決まり9月1日から反映されます。実際に給料に反映されるのは、9月分が支払われる10月分の給料からです。

4~6月に残業などが多いと、定時決定において、標準報酬月額の等級が上がっているかもしれません。もし、9月は4~6月と比較して残業が少ない場合であれば、10月の手取り額が減ることもあります。

2022年10月からパート・アルバイトの健康保険・厚生年金保険の適用が拡大

2016年(平成28年)10月から、従業員の数が常時501人以上の事業所で働くパート・アルバイトは、年収106万円以上になった時点で、健康保険・厚生年金に加入することになっています。

一方、従業員数が500人以下の事業所勤務している人は、年収が130万円までは、配偶者の扶養家族のままでいられました。
しかし、2022年(令和4年)10月から、パートやアルバイトなどの健康保険・厚生年金保険の適用が以下のとおり拡大されます。

(1)従業員数が501人以上から101人以上へと変更
(2)雇用期間の見込みが1年以上から2ヵ月以上へと変更

段階的に門戸を広げている最中であり、2年後の2024年(令和6年)10月からは、従業員数が101人以上から51人へとさらに変更になります。今後ますます、パート・アルバイトの健康保険・厚生年金保険の加入対象が広がる予定です。
健康保険や厚生年金保険に加入した場合のメリットは「老後に受け取る年金が増える」「傷病手当金や出産手当金の対象になる」などがあります。

2022年10月から企業DC加入者がiDeCoへ加入しやすくなる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で決めた額(掛金)を、積み立て運用し60歳以降に年金もしくは一時金で受取る制度です。一方、企業型DC(確定拠出年金)は、企業が毎月決まった掛金を従業員に拠出し、従業員は自分で資産の運用を行い、60以降に年金もしくは一時金で受取る制度です。

企業型DCに加入している場合、iDeCoに加入するには、企業型DC規約でiDeCoへの加入が認められていることが必要でした。しかし、2022年10月からは、企業型DCに加入している人は、規約の有無にかかわらずiDeCoに加入できるようになります。

その際、企業型DCの事業主が拠出する掛金とiDeCoの掛金を合計した上限は5万5000円です。また、企業型DCの拠出掛金の上限は5万5000円、iDeCoの掛金の上限は2万円です。それぞれの掛金の上限は以下のとおりです。

●企業型DCのみ加入している場合のiDeCoの掛金上限額

上記のとおり、企業型DCより拠出された掛金にあわせ、個人がiDeCoでどのくらいの掛金にするのか決まってきます。たとえば、事業主の企業DCでの掛金が、すでに5万5000円に達しているときは、新たにiDeCoに加入することはできませんので注意しましょう。

11月は年末調整に向けての準備、12月には払い過ぎた所得税が戻ってくる可能性

11月頃は、1年間の本来納めるべき所得税の金額、これまで仮徴収してきた金額を比べ、過不足を調整するための年末調整の準備が始まります。そのため、勤務先から、書類を提出するよう求められます。

その年末調整に必要な書類には、以下のものがあります。見落としのないよう、日々の郵送物を確認しましょう。

(1)加入している生命保険や地震保険などの「控除証明書」
(2)住宅ローンの「年末残高等証明書」
(3)iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)の「小規模企業共済掛金等控除証明書」

初めて住宅ローン控除を申請するときは、会社員や公務員であっても、確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整で済ませることができます。
「小規模企業共済掛金等控除証明書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、必要事項を記入し、会社に提出すると、所得控除の対象になり、正しい税金が計算されます。もし、仮徴収された所得税のほうが多ければ、余剰分の税金が戻ります。しかし、不足する場合には追徴となります。一般的には返金されるケースが多く、12月の手取りが増えることが多いといえます。

マイナポイント申込期限は2023年2月末だが、マイナンバーカード新規取得の申請期限は2022年12月末、

マイナンバーとは、住民票を持っている人すべてが個々に持つ12桁の番号です。マイナンバーカードに、顔写真、氏名・住所・生年月日・性別などとあわせて記載されており、公的な本人確認証明として利用できるプラスチック製のカードです。

マイナンバーの申請がまだの方には、地方公共団体情報システム機構(略称J‐LIS)から、「オンライン申請用QRコード付きマイナンバーカード交付申請書」が届きます。
交付申請書の右下にあるQRコードをスマートフォンなどで読み取れば、簡単にオンライン申請ができます。

マイナンバーカードを取得した後は、マイナポイントを受け取るキャッシュレス決済サービスを決めて申込みをします。新規取得で最大5000円分(マイナンバーカードの申請期限12月末までが対象)、健康保険証としての利用申込で7500円分、公金受取口座の登録で7500円分、合計すると最大2万円分のポイントが受け取れます。なお、マイナポイントの申込期限は2023年2月末までです。

12月末までに、ふるさと納税を利用しよう

ふるさと納税は、応援したい都道府県や市町村への「寄附」をする制度です。ふるさと納税では原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象となり、税金の還付や控除が受けられます。また、各自治体からは自己負担額の2000円で、地域の特産品を送ってもらえます。なお、ふるさと納税の全額控除となる寄附金額は、収入や家族構成ごとに一定の上限があります。2022年分は、12月末までが期限です。

また、ふるさと納税で、所得税・住民税から控除を受けるためには、原則として確定申告が必要です。ただし、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内である場合に限り、寄付先の自治体が5つまでであれば、「ワンストップ特例の適用」で手続きすることができます。

12月末までに、NISA(少額投資非課税制度)枠を使い切ろう

NISAは、投資の利益を非課税にできる税制優遇制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をすれば、売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば、税金はかかりません。NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類あります。どの非課税枠も年を超えて繰り越すことができません。12月末までにそれぞれの枠を使い切るとすれば、残り3~4か月しかありません。年末までの残り枠を調べ、計画的に使い切ることをおすすめします。

12月~1月に「源泉徴収票」が手元に届く

年末調整が終わる12月~1月には、源泉徴収票が手元に届くはずです。源泉徴収票では、自分の年収、所得額、所得税などが確認できます。また、確定申告をする際に必要になります。それ以外では、住宅ローンを組むときなど、過去の分も含め提出することになります。

会社員・公務員でも2月~3月の「確定申告」を利用しよう

確定申告は、前年1年間の所得から納める税金を計算して申告し、税金を支払う手続きです。毎年2月16日~3月15日までの間に行われます。年末調整をする人にとっては、必要ないことと思うかもしれません。しかし、生命保険控除の申請を忘れた人、2022年中に医療費が多くかかり医療費控除を受ける人などは、確定申告をすることで所得税を安くすることができるかもしれません。医療費控除・セルフメディケーション税制などについて説明を補足します。

医療費控除を活用しよう

医療費控除を活用すれば、毎年1月1日~12月31日までに支払った自分や同一生計の家族の医療費の合計が10万円以上の場合、税金を安くできます。
医療費の対象となるものには、病気の治療費だけでなく、通院にかかる交通費、薬を購入した費用、あん摩マッサージ、はり、きゅうなど整体による施術費用などがあります。
医療費控除で安くなる税金の金額は、「実際に支払った医療費の合計額-保険から支給された給付金-10万円」で計算できます(医療費控除の上限は200万円まで)。

セルフメディケーション税制を活用しよう

セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例で、特定の医薬品を購入した際、所得控除できます。薬の購入費用は年間10万円が限度となりますが、所得控除できるのは、「10万円-1万2000円=8万8000円」です。対象となるのは、スイッチOTC医薬品といい、医師、薬剤師などから指導を受けたもの、一般用の医薬品であっても医療用から転用された医薬品です。セルフメディケーション税制が適用となるには、健康保持、病気の予防への取り組みが必要です。

なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、どちらか一方のみ選択となります。

戻るはずの税金を納めっぱなしにしない

下半期のお金のイベントを見てきました。この時期は「税金を減らして、お金を貯める」ための様々な取り組みが詰まっています。いままで、見逃していたという人は、戻るはずの税金を納めっ放しになっていたかもしれません。

今年は、そうならないために、しっかり段取りしておきましょう。

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