キャデラック、2023年IMSA GTPドライバーを発表。元BMWのシムズが4人目に決定

 キャデラックは9月20日、2023年シーズンのIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦するGTPドライバーのラインアップを発表した。この中で元BMWドライバーのアレクサンダー・シムズと新たに契約したことを明らかにしている。

 シムズは、ピポ・デラーニ、セバスチャン・ブルデー、ランガー・バン・デル・ザンデとともに、キャデラックの新型プロトタイプカー『キャデラックV-LMDh』による最初のシーズンのコアリスト・メンバーとして指名された。

 このイギリス人ドライバーはアクション・エクスプレス・レーシングで、デラーニとの新しいコンビネーションを誕生させる。一方、ブルデーとバン・デル・ザンデはチップ・ガナッシ・レーシングに残り、今季と同様にペアを組む予定だ。

 IMSAのプロトタイプクラスに初めて挑むシムズは、これまでにゼネラルモーターズのブランドを象徴するチームのひとつであるコルベット・レーシングからル・マン24時間、デイトナ24時間、セブリング12時間、プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)に参戦した経験を持つ。

 またBMWワークスドライバーとして数年間GTレースに参戦したほか、ドイツメーカーの下でABB FIAフォーミュラE選手権にも出場し1勝をマーク。マヒンドラのマシンでもフルシーズンを戦った。

「IMSAのレースにフルタイムドライバーとして復帰し、キャデラックV-LMDhをドライブできることに興奮している。コルベットでGTレースをしていた数年間を楽しく過ごしたので、あのパドックに戻ることにしたんだ」とシムズ。

「IMSAのレースは本当に好きだ。レースのフォーマット、競争力、そして我々が行くサーキットは素晴らしいものだからね」

「アクション・エクスプレスはGMファミリーの中でもトップレベルに位置している。チャンピオンシップで勝利したことがあるこのチームと一緒にレースをすることは、僕にとってエキサイティングなことだ」

 スポーツカーレースで多くの経験を積んでいるシムズだが、彼は2012年にル・マンでLMP2クラスのローラB12/80・ジャッドをドライブして以来、プロトタイプレースには参加していない。

 来年のIMSAキャンペーンではシムズとデラーニ、F3時代の同世代が再会することになる。この新しいペアは最近、ロード・アトランタとワトキンス・グレンでキャデラックV-LMDhのトラックテストを実施した。

■デイトナ24時間など長距離レースでの第3、第4ドライバーは後日発表

 IMSAのトップカテゴリーで5年目のシーズンを迎えることになるデラーニは、「素晴らしい結果を残し、キャデラックがいるべきトップステップに立ち続けることを願っている」とコメント。

「アレクサンダー(・シムズ)は、電気自動車やハイブリッド車に関する多くの経験を持っており、我々のチームに大きなプラスとなるはずだ。新型マシンの開発にはクルマに適応する時間を割いている余裕はない。僕たちはすぐに開発作業を実行に移す必要があり、アレクサンダーはそれを可能にしてくれるだろう」

 ブルデーとバン・デル・ザンデはDPiクラスの最終シーズンを前に、今年からチップ・ガナッシ・レーシングのフルシーズンペアとなった。彼らはこれまでに3勝を挙げ、ランキング3位で来週のプチ・ル・マンに臨む。

 4人のIMSAフルシーズンドライバーを発表したキャデラックは、ミシュラン・エンデュランスカップで各車に追加される人員を後日アナウンスする予定だ。また、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに投入される1台のドライバーラインアップについても、日を改めての発表となる。

 今回発表されたドライバー以外では、アール・バンバーとアレックス・リンが、キャデラックV-LMDhのプレホモロゲーション段階のテストで新型車のステアリングを握っている。

 キャデラックのグローバル・バイスプレジデントであるローリー・ハービーは、「新しいGTPクラスは、ここ数十年でもっともエキサイティングな競争を生み出すことになるだろう」と語っている。

「キャデラックV-LMDhに世界トップクラスのドライバーのラインアップが揃うことを楽しみにしており、(その一環として)アレクサンダー・シムズをキャデラックに迎え入れた」

キャデラックのLMDhカーは、BMW MハイブリッドV8と同じくダラーラ製シャシーを基に設計されている

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