自由な発想で似顔絵 障害者ら「絵師」デビュー 相模原・相模大野駅前でイベント 「才能や可能性知って」

似顔絵を描く吉岡さん(右)と増田さん=相模原市南区

 知的障害などがある人たちの表現活動の場「フェースofワンダー」の利用者が、“似顔絵師”としてデビューすることが決まった。10月2日、23日、11月13日の3日間、相模原市南区の相模大野駅北口ペデストリアンデッキでイベントを開催し、通行人らの似顔絵を描く。会を主宰し指導に当たる金子光史さん=同区=は「障害のある人とない人が日常的に一緒にアートを楽しめる空間をつくっていきたい」と力を込める。

 デビューするのは、自閉症や発達障害などのある10~40代の10人。日頃は「フェースofワンダー」に通い、シュレッダーの紙や割り箸、綿棒など身の回りにある素材を活用し、動物の絵などを描いている。色使いや表現手法が独特で、金子さんは「発想が自由で驚く人は多いはず」と話す。

 これまでは作品展などを県内各地で開いてきたが、来場者には関係者が多かった。「障害者と関わりのない人にも障害のある人の才能や可能性を知ってほしい」と金子さんが今回のイベントを企画した。

 当日は通行人に参加を呼びかけ、5~10分程度で似顔絵を描く。自閉症と知的障害のある吉岡祐太さん(24)は10色近い色鉛筆を使い、似顔絵を描く。服装のデザインを独自の視点で捉えるのが得意で、吉岡さんは「楽しみ」と話した。

 発達障害のある増田虎さん(15)の絵は、顔のパーツの位置や形を正確に書き写すのが特徴。「たくさんの人と話していい思い出にしたい」と話している。

 似顔絵は1回300円。各日午後0時半~同2時半。雨天中止。粘土細工の体験や、通行人と共同画を制作するコーナーも設ける。

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