【管理栄養士直伝】無添加じゃないと体に悪いの?添加物との正しい付き合い方

健康志向の高まりから、「オーガニック」や「無添加」の食品に注目集まっています。
「何か入っているよりはクリーンなもののほうが体によさそう」と思われる方も多いのではないでしょうか?
しかし、無添加の食品はそれだけ生産の手間がかかっており、決して安くないのが難しいところ。
さらに、2022年3月に消費者庁が、「無添加は健康で安全」というイメージが独り歩きすることで、他の食品の安全性が疑われることを懸念して「無添加表示の規制強化」を発表しました。
添加物について詳しく知り、食品の選び方を身につけたい!というあなたに、管理栄養士が科学的根拠に基づいた知識と食品の選び方をお伝えいたします。

添加物とは

添加物といえばコンビニ弁当やスーパーのお惣菜などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
実は、豆腐を作るときに使用されるにがり(塩化ナトリウム)、味噌・しょうゆといった調味料に入っているアミノ酸やph調整剤なども添加物の一種です。
身近なもの、無添加だと思っていたものにも添加物が使われていたのか!という目からうろこな事実かもしれません。
食品添加物が使用される目的は主に4つあります。
1つ目は食品の品質低下を防ぐことです。
殺菌料や保存料、酸化防止剤などは特に恐れられる食品添加物ですが、これらは食品にカビが生えてしまったり食中毒のリスクが上がったりしてしまうことを防ぐ役割があります。
食中毒は、最悪の場合死に至るものですので、安全性を確保するという意味で大きな役割があります。
2つ目は味の向上です。
甘味料や酸味料、香料などは食品の見た目や味や香りなどを新たに付けることで、食品の品質や価値を高めます。
3つ目は食品の栄養価を高めることです。
アミノ酸やビタミン、ミネラル類が食品の製造加工・保存などで失われる栄養素を補充する目的で添加されることがあります。
4つ目は食品そのものの製造のためです。
先ほど例にあげた、豆腐に使われるにがりの他、こんにゃくを作る際に使われる硫酸カルシウムや中華麺を作る際に使われるかんすいなどは、食品を製造するために必要な添加物であり、昔から使用されているものも多いです。

以下に食品添加物の種類や代表的な食品添加物の例をお示します。

食品添加物には上記4つの役割があり、私たちが美味しく安全に食べるための手助けをしてくれているのです。

添加物の安全性

ただし、取りすぎると危険であることから恐れられている食品添加物。
添加物の使用基準については、安全性を評価するためのさまざまな毒性試験(発がん性、催奇形性、急性毒性など)を行い、1日摂取許容量(ADI)を設定しています。
1日摂取許容量とは、動物実験をもとに設定された、ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に影響を及ぼさないと推定される摂取量のことです。
ADIは単一の添加物についての基準なので、「コンビニ食品のように複数の添加物が入っているものは安全ではないのではないか?」と心配される方もいらっしゃると思います。
複数の食品添加物を同時に摂取する安全性について、すべての添加物の組み合わせを検証した研究はないものの、ADI自体厳しく設定しているため、複合影響により人に健康被害が発生する可能性は非常に低いとされています。
また、私たちが日頃どれ位食品添加物を取っているかは、厚生労働省の調査結果で把握できます。
この調査はスーパー等で販売されている食品中に含まれる食品添加物量を分析して測り、その結果に平均的な1日当たりの食品の喫食量を乗じて摂取量を求めるものです。
これまで実施した調査結果では、食事内容に個人差はあるものの、平均的な20歳以上の日喫食量であれば安全性上問題ないことが確認されています。

食品添加物との付き合い方

まず、ここまでお話ししてきたように添加物が入っているからといってその食品を過度に怖がる必要はありません。
ただし、食品は正しい知識を持ったうえでご自身の納得する方法で選ぶのが1番です。
科学的に安全と証明されたとしても不安な気持ちのある方は、コンビニ弁当やスーパーのお惣菜など特に複数の種類の添加物が使用されているものを控えたり、無添加食品を扱うネットスーパーなどを利用したりするのも1つの方法です。
ネットには添加物についての情報が多く出回っていますが、科学的根拠に基づいた知識を得るために厚生労働省や農林水産省、食品安全委員会といった行政機関のホームページを確認していただければと思います。

<参考>
・ 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」
・ 医療情報科学研究所編集『レビューブック管理栄養士2023』(メディックメディア)
・ 厚生労働省「マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査」

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