認知症への理解・支援を! 世界アルツハイマーデー「無料の判定サービス」も

9月21日は認知症を広く理解し支援を呼びかける「世界アルツハイマーデー」です。東京都内ではさまざまな取り組みが行われました。

東京・八王子市役所前には認知症支援のシンボルカラーとなるオレンジ色のマリーゴールドの花が並びました。これは認知症に理解を深めてもらおうと、市の医療関係者などが呼びかけて行われました。

年々高齢化が進む日本では認知症の早期発見が課題とされていて、予防への意識が高まっています。大手通信会社のNTTコミュニケーションズがこの日から始めたのは、認知症の疑いがあるかどうか判定することができる電話サービスです。フリーダイヤル番号(0120-468-354)に電話をかけ、案内に従って日付や年齢を答えると、AI=人工知能が分析し、およそ2分ほどで認知機能を測定します。NTTコミュニケーションズの担当者は「家族や親族が認知症になると"一気に始まってしまう”問題。周りにいない人でも認知症を身近に捉えてもらい、今後の行動変容につなげていく取り組みにしたい」(武藤拓二さん)と話しています。

このサービスは2023年3月まで無料で利用することができ、今後は介護施設や民間企業と連携していくことも視野に検討しています。

<東京・江東区 認知症早期発見へ…無料の「もの忘れ予防健診」>

一方、東京・江東区は8月から70歳の区民を対象に、無料の「もの忘れ予防健診」を始めました。

あらかじめ対象者に"気付き”のポイントが書かれたチラシやチェックリストを発送し、一定の点数を超えた場合などは医療機関での検査を促します。区の担当者は「目的は大きく2つ」として「1つ目は、認知症に関する正しい知識について普及と啓発を図ること。もう1つは、認知症患者の早期発見と早期対応」(地域ケア推進課・宮沢祐司課長)といいます。

健診がどのように行われるのか、実際に専門医を訪ねました。健診では基本的な年齢や日付、数字の計算などの質問に答え、自分の状況を正しく認識できているか、そして短期の記憶力が低下していないかを調べます。区内のクリニック・稲見内科医院の稲見晃一院長は「記憶が抜けてしまう、あるいは時間感覚がずれることで"自分が苦手になっているところに気付きにくい”という特徴がある病気でもある。そういった病気があるかないか、病気の素因があるかということに気付くことがとても大切」と指摘します。

認知症の疑いがあると診断された場合、専門的な医療機関が紹介され、より精密な検査を受けることが勧められるということです。

この取り組みに対し、区民からは「いいことですね。うちのかみさんがちょっと危ない。物忘れで」(78歳男性)、「物忘れとか認知症とか、自分では分からないところがある。それをちゃんと調べてくれるならうれしい」(81歳女性)といった声が聞かれました。その一方で「物忘れはまだまだないというつもりで(区が配布しているチラシなどは)見ていない。年齢は年齢だけど、実年齢と自分の意識の中で差異があるのかな」(70歳男性)と話す人もいました。

江東区は今後、この取り組みを広く周知して、早期の適切なケアにつなげたいと話しています。

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