モバイルの「利用格差」への対処が持続可能な開発目標達成への鍵

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【ニューヨーク2022年9月21日PR Newswire=共同通信JBN】
*第7回年次GSMA SDG Impact Reportは、SDGの進展にデジタルインクルージョンが重要としている

GSMAの第7回年次Mobile Industry Impact Report:Sustainable Development Goals(モバイル産業インパクトリポート:持続可能な開発目標)(https://www.gsma.com/betterfuture/2022sdgimpactreport )によると、野心的な国連の持続可能な開発目標(UN Sustainable Development Goals, SDGs)の達成を目指す国は、モバイルインターネットの「利用格差」の解消を優先すべきである。

このリポートは、モバイルセクターがSDGsにコミットした最初の業界となってから6年が経過し、17の目標すべての達成に向けて貢献度を高め続けていることを示している。しかし、モバイル事業者の2030年アジェンダへの継続的なコミットメントにもかかわらず、道のりはまだ長い。

世界的な紛争、食料やエネルギー貧困の拡大、経済の不確実性、Covid-19の進行中の影響などが重なり、大きな逆風となって世界中でSDGsの進捗が脅かされているのが現状である。こうした課題に直面する中、本リポートではモバイル接続とコネクテッド技術がイネーブラーとして果たせる重要な役割を強調している。それは国々が経済回復とレジリエンスを追求して「より良いものを構築する」中で、そうした国々を支援する役割である。モバイル事業者のネットワークインフラへの投資により、2015年に14億人に上ったモバイルブロードバンドネットワークの「カバレッジギャップ」(注)が2022年には4億人に縮小し、さまざまなSDGs指標に高く貢献している。

しかし、ネットワークでカバーされている約32億人の人々は、スキル、知識、支払い能力、関連するコンテンツなどの不足により、この接続性のメリットを依然として享受できない状態である。この「利用格差」は、世界的な経済・社会の進歩に対する最大の「ブレーキ」の1つとして急速に浮かび上がってきた。

本リポートは、高速で信頼性の高いネットワークにアクセスできる人が友人や家族とのつながりを維持し、リモートで仕事をし、教育や医療サービスを利用し、革新的なビジネスを構築し、効率性を高めて二酸化炭素排出量を削減する方法の実例を示している。対照的に、こうしたネットワークにアクセスできない人は経済・社会的混乱に最も脆弱であり、世界がパンデミックから脱却する中で、特にオンラインサービスが社会にとってより不可欠になるにつれ、さらに後れをとるリスクがある。

Telefonicaの最高経営責任者(CEO)でGSMA会長でもあるJose-Maria Alvarez Pallete氏は「紛争、食料不安、経済の不確実性が世界的な課題のトップにある世界において、モバイルが果たすべき役割はかつてないほど重要である。GSMAのSDGs Impact Reportは、これらの途方もない課題に取り組む上で通信がもたらす変革的インパクトを実証し、前向きな変化の触媒として機能し、有意義な進展をもたらすものである」と述べた。

GSMAのMats Granryd事務局長は次のように述べた。「ニューヨークで今週開催された国連総会は、拡大するグローバルな課題に直面する中で集団的行動の重要性を強く思い起こさせた。SDGsは世界の進歩のための指針であり続け、モバイル業界はその擁護者であると同時にそれを実現させる重要なイネーブラーであることを誇りに思う」「モバイル接続とデジタルインクルージョンは、2030年アジェンダに示された野心的な目標を達成し、グローバルな不平等、貧困、紛争という逆風に世界が立ち向かう上で不可欠なツールである。われわれは政策立案者に対し、高品質のモバイルネットワークへの民間投資を抑制する障壁に対処し、接続が進むこの世界で多くの人々が自分の可能性を発揮することを阻む「利用格差」の解消に貢献するよう強く求める。私たちは共に、経済回復、社会の発展、デジタルインクルージョンの触媒として接続の力を活用し、世界中の何百万人もの生活を向上させることができる」

モバイル業界のSDGへの貢献:

モバイル業界は2021年、17のSDGsすべてへのインパクトを増加させ、2020年と比較して前年比の平均増加率が加速している。17のSDGsに関する平均SDGsインパクトスコアは2020年の49、2015年の32から2021年は53に達した。モバイル業界はSDGsに貢献できる潜在力のうちの53%を達成していることになる。その他のハイライトは以下の通り:

*モバイルの貢献度が50を超えるSDGsは、2020年には6つ、2015年にはゼロだったのに対し、現在では11である。
*モバイル業界は、SDGsの9番目の目標である「産業と技術革新の基盤をつくる」ことにおいて、モバイルネットワークの到達範囲とモバイルインターネットサービスの普及が主導し、引き続き最も高いインパクトを達成している。
*モバイル業界はSDGsの目標1「貧困をなくす」、目標2「飢餓をゼロに」、目標4「質の高い教育をみんなに」への貢献度において、最大の改善を記録した。これは、行政サービスへのアクセス、仕事への応募や検索、自分自身や子供のための教育情報の入手など、生活を豊かにする活動にモバイルを利用する人の割合が増加しているためである。

本リポートのダウンロード:https://www.gsma.com/betterfuture/2022sdgimpactreport

編集者注意:

*2021年末までに、53億人(世界人口の66%)がモバイルフォンを利用し、43億人(世界人口の55%)がモバイルインターネットも利用するようになった。この中には、モバイルが主要な、そして多くの場合唯一のインターネットアクセス手段である中低所得国(LMIC)における33億人以上のモバイルインターネット加入者が含まれている。
*「利用格差」、すなわちモバイルブロードバンドネットワークがカバーする地域に住んでいながら接続されていない人々の数は3年連続で減少したものの、依然として32億人に上る。 モバイル業界とそのパートナーは、利用格差の理由に対処する取り組みを続けており、それは一般的には安全やセキュリティーへの不安に加え、支払い能力、知識やスキル、関連性の欠如などが関係している。
*2021年にはモバイル加入者がオンラインサービスをさらに利用するようになり、モバイルによって可能になるアクティビティーの利用が新たな高みに達した。
*2021年には35億人(モバイル加入者の67%)がモバイルフォンを使用してビデオ通話を行った。これは、2020年から3億3000万人増えたことになり、リモートワークやその他のオンライン活動を支援していることを表している。
*25億人(モバイル加入者の48%)が、自分自身や子供のためにモバイルフォンを利用して教育情報にアクセスした。これは2020年から4億1000万人の増加である。
*21億人(モバイル加入者の41%)がモバイルフォンを利用して健康状態の改善やモニタリングを行った。これは2020年から2億7000万人の増加。
*モバイル対応サービスの利用率は、依然として途上国でかなり低い。高所得国とLMICのモバイル対応サービスの利用率の差は平均17パーセントポイントであり、事業者が地域に関連したコンテンツを導入し、より質の高い接続を必要とするサービスへのアクセスを可能にするために、ネットワークをアップグレードする取り組みの重要性を浮き彫りにしている。
*モバイル業界では、気候の影響のデータ開示と排出量削減目標の設定が進展を続けている。2021年末時点で、接続別で66%、売上別で82%の事業者が気候への影響を開示し、接続別で34%、売上別で44%の事業者が2050年までにネットゼロとする炭素削減目標を設定した。
*モバイルとデジタル技術を導入することで、排出量の多い上位4業種において2030年までに必要とされるCO2削減量の40%弱を達成できる可能性がある。この4つの業種(製造、電力・エネルギー、運輸、建築)は、世界の排出量の80%を占めている。
*モバイル分野では、サステナビリティーボンドの発行が大きく伸びている。これは、事業者が純粋な財務目標ではなく、社会的・環境的目標を達成することに基づいて、資金をますます確保していることを浮き彫りにしている。
*環境・社会・ガバナンス(ESG)の主張に関してステークホルダーがよりスマートになり、見識が豊かになっている中、パフォーマンスを測定して伝えるための効果的で一貫したアプローチがこれまで以上に重要になっている。このほどGSMAは、モバイル業界固有の10の主要業績評価指数(KPI)を特徴とする、同業界で初のESG報告フレームワーク「ESG Metrics for Mobile」を立ち上げた。このKPIにより、ステークホルダーは同業界のニュアンスや状況をより深く理解することができ、同業界はより一貫して影響を実証する機会を作り出すことができるようになる。

▽GSMAについて
GSMAはモバイルエコシステムを統一し、前向きなビジネス環境と社会の変化の基盤となるイノベーションを発見、開発、提供するグローバル組織である。GSMAのビジョンは、コネクティビティーの全ての力を解放することにより、人々、産業、社会が繁栄することである。GSMAはモバイルエコシステムと関連業界全体のモバイル事業者と団体を代表し、Connectivity for Good(世の中のためのコネクティビティー)、Industry Services and Solutions(産業サービスとソリューション)、Outreach(アウトリーチ)の3つの大きな柱をメンバーに提供する。この活動には政策の推進、現在の最大の社会的問題への対処、モバイルを機能させるテクノロジーと相互運用性のサポート、MWCやM360のイベントにモバイルエコシステムを結集する世界最大のプラットフォームの提供が含まれる。

詳しい情報はgsma.com (https://www.gsma.com/ )を参照のこと。

▽メディア問い合わせ先
GSMA Press Office
pressoffice@gsma.com

(注)「カバレッジギャップ」は、モバイルブロードバンドネットワークがカバーしている地域の外に住んでいる人々について言及している。

ソース:GSMA