市営バスに小学生を置き去り 運転手が確認せず施錠 クラクション鳴らすも気付かれず、自力で窓を開け脱出 沖縄・糸満市

 糸満市は16日に市内の小学生が市営デマンドバス「いとちゃんmini(ミニ)」の車内に取り残されたまま、運転手がバスを施錠する事故があったと22日に発表した。バスを運行する美ら島(同市、仲里隆社長)の前門悟副社長は22日、本紙の取材に「大変申し訳ない。関係者におわび申し上げる」と謝罪した。小学生は自力で窓から脱出し、命に別条はない。
 バスは10人乗りのワゴン車で、小学生は16日午後4時12分に乗車した。運転席のパネルには、利用者が事前に登録した乗降地点が表示されるが、運転手のパネル操作にミスがあり降車地点で停車しなかったという。
 午後5時2分にバスは市内の北波平営業所に戻ったが、運転手は車内の確認を怠りバスを施錠。寝ていた小学生が車内に取り残された。同10分ごろ、小学生は携帯電話で母親と連絡を取り、クラクションを鳴らしたが気付いてもらえず、手動式の窓から脱出。近くにいた別の運転手に保護された。

 事故発生から2日後の18日夕、美ら島から市と沖縄総合事務局に報告があった。市によると、両者間で緊急時や休日の連絡体制が整っていなかったという。
 総合事務局の担当者は20日にメールを確認。「重大に受け止めている」として、20日午前に事業者側に再発防止策をとりまとめるよう指導した。22日には管内の乗り合いバス事業者などに対し同様の事例が起きないよう、対策を講じる注意喚起の文書を出した。運転手は現在、出勤停止にしているという。保護者からは再発防止の強い要望があったといい、美ら島は糸満市などと協議の上、運転手と営業所職員による車内点検や緊急時に管理者へ通報する防犯ブザーの車内設置など対策を検討している。
 静岡県の認定こども園で、女児(3)が通園バスに置き去りにされ死亡した事件を受け、政府は9日に通園バスを所有する幼稚園などへ一斉点検の方針を示し、安全対策への関心が高まっていた。
 當銘真栄市長は「命に関わることなのでチェックは二重、三重に、乗務員にも徹底してほしい」と話した。 (比嘉璃子)
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