「分かりやすさと、共感ポイント」でZ世代に届け!大学生が「リニア問題」を発信してみた

先日「Z世代に刺さるニュース」づくりに静岡県出身や在住の大学生が挑戦しました。SBSテレビで過去に放送されたリストの中からニュースを1本選んで「Z世代流」にアレンジします。

彼らは「JR東海がリニア工事で静岡県に対して示した『水の全量戻し策』への首長の反応」をチョイス。自分たちから遠い話題だからあえて選んだということです。

Z世代はリニア問題をどうみているのか?

「ちゃぶ台」って?…雰囲気が掴めない

「全量戻しってどういう意味なの?」メンバーは原稿で使われている用語の意味の確認から議論をスタートしました。「静岡県知事が『JR東海にちゃぶ台ひっくり返されて』って発言しているけど、ちゃぶ台?雰囲気が微妙につかめないなぁ」。原稿中の若者が普段使わない言葉の羅列に苦労したようです。

問題の分析にも時間を掛けました。原稿内の登場人物の立場はそれぞれです。「静岡県知事はJR案に大反対だけど、大井川沿いの島田市と焼津市の市長の発言は、ちょっと理解を示している感じ」「山梨県にとっては悲願のインフラ計画。山梨県知事としても早く開通してほしいはずだよね」「でも、静岡県民としては農業や工業に欠かせない水だから簡単にはOKできない」同じ問題でもどの立場かで意見が異なるー。偏らずに伝える難しさを実感したようです。

「ちゃぶ台返し」は…イマイチ伝わらないようです

大切な水の将来を心配しているだけなのに…

いよいよタイトルを考えます。

ニュースの中身をコンパクトに、しかも「Z世代」に刺さる言葉で説明しなければなりません。「開通すれば500キロで走るリニアの工事が水問題でノロノロと進まなかったり、まっすぐ進む列車の開通が右往左往したりしているって皮肉だよね」。ここまでの議論からメンバーの頭の中にはいくつかのキーワードが浮かんでいたようです。

特に「静岡県のわがままで開通が遅れている」といった論調が多いSNSの意見に対しては、「大切な水源の将来を心配しているだけなのに、批判は不公平」という気持ちも盛り込もうと決めました。

2時間に及んだ会議の結果、メンバーは「Z世代」向けにニュースを次のように組み立てました。

SNS上の批判的コメントには「水の将来を心配しているだけなのに…」

「いじめ」と「水溜り」

【タイトル】

「いじめ?水溜り?まっすぐ進まないリニア問題」

<Z世代向けニュースづくりのポイント>

1,タイトルに「Z世代」が関心を寄せる「いじめ」をキーワードとして入れ、地元メディアの視線から静岡県が置かれている立場を訴える。

2,原稿の冒頭部分にリニア工事問題の経緯や解説を手短に加える。

3,登場人物の立場、意見の紹介も加え、読み手が共感できる人を見つけやすくする。

見出し中の「水溜り」について、メンバーは「溜まった水が人の往来の障害となっている様子と水問題の現状を重ねた」と説明。普段ニュースに触れる習慣がない「Z世代」にはわかりやすい解説と、共感できる情報の提供が必要だと締めくくりました。

※Z世代…1990年代後半から2010年生まれの10代から20代前半の若者のことで、インターネット環境での情報収集に長けた世代といわれています。

JR東海が示した全量戻し案 「わかりやすさ」と「共感できる情報提供」は大切です

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