先日「Z世代に刺さるニュース」づくりに、静岡県出身や在住の大学生が挑戦しました。SBSテレビで、実際に放送された4つのニュースの中から1本を選び、どんなアレンジをすれば「Z世代」に届くのか?を考えようというもの。どんなアイデアが飛び出したのか、同席した氷河期世代のWeb編集者が詳しくご紹介していきます。
※Z世代…1990年代後半から2010年生まれの10代から20代前半の若者のことで、インターネット環境での情報収集に長けた世代といわれています。
Z世代が求めているのは「簡潔さ」「インパクト」「共感性」
まず行ったのは「Z世代に刺さるニュース」に求められる要素の検討。これは意見が割れるのでは?と思ったのですが、「簡潔さ」「インパクト」「共感性」、すぐに上がったこの3つの要素に全員納得、以降この要素を軸に話し合いが進められました。
<お題の候補に上がった4つのニュース>
①家庭ごみ処理の有料化を検討中の浜松市に対する市民の反応
② 焼津市で体長1メートルの大型ヘビが相次いで発見される
③ 富士市が税金滞納者と間違えて他人の預金口座を差し押さえた
④夏山シーズン限定で富士山に開設される標高3250メートルの診療所に勤務する医師に密着
「(上記の)3つの要素を持つ記事に仕上げたい訳だから、アレンジするなら、そのうちの何かが欠けているものがいい」
彼らが選んだのは、①家庭ごみ処理の有料化を検討中の浜松市に対する市民の反応を伝えたニュースでした。理由は「インパクトと共感性が足りないと思ったから」。ではどうしたらこの記事に足りない要素を補うことができるでしょうか?
実際のニュースを伝える記事ですから、話を変えたり、いたずらに煽ることもできません。彼らが考えたのは、目を引くタイトル付けと画像の挿入でした。
「パッと見て内容がわかるタイトルにしたい」
「でも、タイトルだけで満足されないように、結末までは盛り込みたくない」
「VTRに登場している人の印象的な発言を活かしたい」
タイトルだけでもいろいろな意見が上がります。
特におもしろいと思ったのが、「本文は短い方がいいけれど、タイトルが長い分には気にならない」という意見。文字数制限がないWebの記事では、プロも頭を抱えるタイトル付けです。これはなるほど、参考にさせていただきます。
画像も「ごみ処理が有料化されると、家計にどのくらいの影響があるのかが一目でわかる図表がほしい」「出費が増えて、ショックを受けている人の写真やイラストがほしい」。目で見てイメージできる画像を挿入することで共感性を出したいという学生たちの意見に、画像の重要性を再認識させられました。
ニュース記事に“インパクト”と“共感性”を出すには?
今回の取り組みを経て、学生たちは普段自分たちが何気なく選んで読んでいた記事には、「簡潔さ」「インパクト」「共感性」の共通点があったかもしれないと気づけたようです。
昨今、Z世代…若者のニュース離れが叫ばれますが、発信する側も果たして彼らに応えるニュース記事がつくれていたのか、たくさんの気づきと反省をもらえる取り組みとなりました。
Z世代に迎合するというわけでは決してなく、様々な世代にフラットな発信を心がけていきたいと思いました…と、これではまた本文が長すぎるのか、ぜひまた意見を聞いてみたいものです。