静岡県南伊豆町で9月から始まるある実験に注目します。町が頭を抱えるごみをあるものに変えてしまおうというのです。これがCO2削減にもつながるかもしれません。
伊豆半島の最南端・南伊豆町。きれいな海と景色を求め、一年を通じて多くの観光客が訪れます。町の主要産業も宿泊業。コロナの影響も受けましたが、今年の夏は少しずつその数も戻りつつあります。一方で、町はこんな悩みを抱えていました。
<南伊豆町 岡部克仁町長>
「飲食店や旅館から出るゴミは、ほぼほぼ生ごみ。生ごみから水分を上手に切り切れるかということは、なかなか厳しいかと思います」
ズバリ、ごみの問題です。南伊豆町では1日におよそ10トンのごみを焼却処分していますが、町民がごみ処理費用の1割を負担するなど、小さな町にとっては大きな負担です。
<南伊豆町生活環境課 高野克巳課長>
「清掃センターを運営するにあたって年間約1億5千万円程度委託でかかっています。今後町単独で清掃センターを建設して運営していくにはかなりの負担がかかります」
特に多い生ごみの処理には頭を抱えています。そこで驚きの実験を始めようとしています。
<株式会社JET 藤本洸執行役員>
Q.どんな機械?
「こちらが、家庭ごみを発酵・乾燥させる機械になります」
南伊豆町と企業が連携して、町内で出されるごみを燃料に生まれ変わらせようというのです。その方法とは?
<藤本執行役員>
「ゴミをこの中に分別しないで入れて、この中で微生物の力を使って発酵、乾燥させていきます」
これで生ごみの水分は、半分に減るとみられます。気になる臭いは?
<天野貴弘カメラマン>
「生ごみ特有の生臭さとかはありませんね」
これで、今度はごみを燃やす燃料の一部として使うというのです。
<藤本執行役員>
「事前に水分を飛ばすことによって、焼却炉で燃やすときにその時使う化石燃料を減らすことができます。これまで捨てられていたごみをこの機械で発酵・乾燥させて肥料・飼料・燃料、またはその燃料を使って発電までしていく、資源を循環させていく仕組みを狙っています」
水分を減らすだけで、ごみの減量はもちろん、ごみを、ごみとして終わらせず、エネルギーに変えてしまおうという地球にやさしい循環システムになる可能性を秘めています。
<岡部町長>
「観光地・南伊豆というのは観光客の方もごみを出される、宿泊してごみも出るということなので、海山(自然への影響)の問題が多々あるので全力で取り組まなくていけないと考えています」