石木ダム早期完成へ意見書 買受権踏まえ 佐世保市議会が可決

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、同市議会は22日、ダム建設のために収用した土地を元所有者が買い戻す権利(買受権)が来年9月に発生する可能性を踏まえ、ダムの早期完成を求める意見書を賛成多数で可決した。大石賢吾知事と中島廣義県議会議長宛てに送付した。
 土地収用法は、事業認定告示日から10年を経過しても「収用した土地の全部を事業の用に供しなかったとき」に、元所有者が買い戻す買受権を認めている。
 意見書では、来年9月に事業認定の告示から10年となる石木ダム事業で買受権が発生する可能性に触れ、「ダム建設に時間的猶予は残されておらず、判断の遅れによる損害は計り知れないほど大きい」「万全な取り組みをもって進めることが政治や行政の責務」と強調し、県に工事の推進を要請した。
 一方、県は22日、報道陣に「買受権は発生しない」とする見解を説明した。
 県河川課は、買受権が発生する「収用した土地の全部を事業の用に供しなかったとき」の解釈について、法学者の解説書では「(事業が)施工中で進捗(しんちょく)が客観的に認められれば供用にあたるとされている」と指摘。「石木ダムの工事は進めており、買受権は発生しないと考えている」とした。ただ、過去に実例や判例もないため、今後も弁護士などと相談しながら検討していくとした。


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