米軍嘉手納基地内の格納庫移転 米側、町の代替案を拒否

 【嘉手納】沖縄県嘉手納町議会基地対策特別委員会の委員らは22日、米軍嘉手納基地の第18航空団を訪れ、基地内にある元駐機場「パパループ」地区周辺への防錆(ぼうせい)整備格納庫移設計画の即時撤回と、計画に伴う文化財調査の中止を要請した。要請は非公開で、要請後取材に応じた委員によると、第18航空団は移設計画について嘉手納町の代替案も検討した結果、現段階では現行の計画で決定していることを明らかにした。文化財調査については、HH60ヘリ格納庫整備の一環であることを説明した。

 町議会基地対策特別委員会の要請には、第18航空団広報局長のレイモンドP・ジェフリー少佐が応じた。同委員会は8月までの臨時議会で可決した、計画に関する抗議文を手交した。少佐は「代替案も検討したが、現段階で第18航空団として(パパループ地区周辺への計画で)決定している」と述べたという。同委員会の當山均委員長は「(計画の撤回を求めて)議会単独で動くか、行政と協力するのか、今後の対応を検討したい」と述べた。

 防錆整備格納庫の移設計画を巡っては、予定地が住宅地域に近いことから、騒音や航空機の排ガスによる悪臭などの被害が懸念されている。嘉手納町は建設場所を民間地と離れた場所にする代替案を米側に提示していたが、拒否された格好となった。當山宏町長は「第18航空団としても予定している場所に造るという方針で臨んでいるだろう」との見方を示した一方で、「町民を守る立場にある。引き下がるわけにはいかない」と計画の見直しを求める姿勢を崩さなかった。玉城デニー知事は22日の会見で、民間地に隣接する移設に懸念の声があるとして「(米側は)地元住民の代表である議会の意見を尊重すべきではないか」と述べた。

(名嘉一心)

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