“かもめ愛”熱く 追っかけに 大村のグラフィックデザイナー・久米真弓さん(44)

西九州新幹線かもめの海上輸送の写真を見せる久米さん。好きが高じて髪も赤く染めた=大村市内

 西九州新幹線かもめの追っかけが長崎県大村市にいる。「赤いラインがかわいくて、真正面からの“顔”もたまらない。大きくて速い鉄道の花形が地元に来るのがうれしい」。グラフィックデザイナーの久米真弓さん(44)=同市宮小路2丁目=は車両の海上輸送を見てその魅力に取りつかれ、走行試験などの様子をカメラに収め続けてきた。
 もともと鉄道に乗って楽しむ“乗り鉄”。20歳の時に「青春18きっぷ」で福岡から北海道まで旅した経験も。写真は表現方法の一つとして学生時代から続け、最近まで被写体は自然や風景が中心だった。
 1月、高速船から新幹線かもめの海上輸送を見るツアーで一目ぼれ。各地の輸送現場や自宅近くの大村車両基地などに通った。動く列車を撮るのは難しかったが、次第に“撮り鉄”仲間が増え、「情報交換やお互いの写真を褒め合うなどしてモチベーションにつなげてきた」。

大村湾をバックに大村市内を駆け抜ける新幹線かもめ

 空港に着陸する飛行機とかもめ、大村湾を背景に疾走するかもめ-。これまで撮影したのは5千枚以上。県展の知事賞にも輝いた。うち厳選した34枚を在来線の大村駅近くのギャラリーで個展を開き披露している。併せて周辺の飲食店に呼びかけ、かもめをテーマにしたオリジナルメニューを提供したり、障害者のアート展を開催したり。JR九州の許可を得て、撮りためた写真でペンやマグネットなどのグッズも制作した。
 市募集の開業PRロゴマークには、大村公園を象徴する板敷櫓(いたじきやぐら)と新幹線を組み合わせた自身のデザインが採用された。西九州新幹線を取り上げた雑誌の挿絵も担当するなど「新幹線から受けた感動を日々の仕事に生かせている」と笑う。
 若者の流出が進む県内。「子どもや若い人が『自分たちの新幹線』として好きになれば、地元を愛することにもつながるはず」と考える。絵を指導する市内幼稚園や自身の教室では、かもめを題材にしたことも。実物の内外装デザインを手がけた水戸岡鋭治氏にも見てもらい「子どもが描く線にはかなわないね」と喜ばれたという。
 開業当日は新大村駅発の一番列車に乗る予定。「まずは開業後の1年が大事。いろんな人を連れてくる新幹線を使って、大村のまちをもっと面白くしたい」。そんな思いを胸に、かもめを追っかけ続ける。


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