西沢成悟&サンライズ太陽(メメタァ)×樋口寛子(新宿ロフト)- メメタァとロフトの共催企画『年末大感謝祭』、2022年のテーマは"ライブハウスに光を!"

「メメタァ、今年も年末にロフトでやるの?」って言われることが増えて

──昨年の『年末大感謝祭』は、振り返ってどんな雰囲気でした?

成悟:共催という形では2年ぶりで、「ライブハウスを取り戻せ!!」っていうサブタイトルでやらせてもらって。制限もあった中で直前まで状況も分からなくて近々で準備して、告知も10月〜11月とかで。

太陽:出演バンド数も少なかったですよね。

樋口:例年に比べたら少ないね、終了時間も少し早めにして。でも良い形でお客さんも集まって、一緒になって楽しんでくださる方が多かったよね。

成悟:コロナ禍でなかなか対バンできなかったバンドにも出てもらったりして、少しライブハウスを取り戻せた感じがして。

樋口:私はブッキングで言うと2021年の最後の公演で、このイベントを見てまた来年も頑張ろうって思わせられた日で。メメタァがトリを飾って、「去年は20時までの開催で配信も並行してやって、フロアには椅子が並んでて、そんな状態の開催でしたけど、今年は20時までに終わらなくてもいいライブハウス、フロアに椅子がないライブハウスをコロナから取り返しました!」みたいな、成悟くんのMCの言葉で泣いているお客さんがいたのよ。私ももらい泣きしちゃう感じで、コロナっていうものを背負いながらライブハウスもやってきているじゃない? その光景を見てグッとくるものがあって。心をわし摑みにされているお客さんの姿を見て、本当にやって良かったなってすごく思った。

太陽:(コロナ禍で)配信をやってきたのもひとつ、良かったと思うんですよね。秘密の場所じゃないけど、行った人としか共有できない何かっていうのがライブハウスには絶対にあるし。

──ライブハウスに行ってみたくても行けなかった方が配信で見て、実際に行ってみる。そしてライブハウスだからこそ感じられる熱量で心動かされる。今年の『年末大感謝祭』もドラマが感じられる1日を期待しちゃいます!

樋口:お金を払って、そのうえコロナになるかもしれないっていうリスクも背負って来ていただくには、そこに来なきゃ味わえない何かっていうのを持って帰ってもらいたいというのはあるし、今年は去年以上の出演者数だしね。そういう意味でも去年から前進した年末を皆さんと一緒に送れるんじゃないかな、と思っていて。

太陽:何より今年は動き出しが早いですからね!(笑)

樋口:メメタァの皆さんから「そろそろ打ち合わせをやりましょう」って言われたときには早いなと思ったけど(笑)、前のめりでやってくれるのもすごく嬉しくて背中を押されてる感じ。出演者もだいぶ早くに決まってきてるしね。

成悟:去年を経て、もっといろんなことができるなと思ったんですよね。

樋口:少しずつ前進しているメメタァとドキュメンタリーを作るじゃないけど、演者と私だけで共有するんじゃなくて、お客様も巻き込んで輪を広げていきたいな、見届けてほしいなっていうテーマが、特に今年はすごくある。毎年、来てくれている方もいると思ってて、去年来た方が今年に「一歩、進んでない?」って感じてもらえたら。

太陽:お客さんからも、対バンのバンドからも「メメタァ、今年の年末はロフトでやるんですか?」って言われることが少しずつ増えてきてて。

樋口:私もいるのよ、そう言ってくれるバンドが! 認知されてきてて私も嬉しいし、われわれのやっていることがバンドにとってもお客さんにとっても前向きになるきっかけで、希望でありたいっていうのはあるよね。私だけじゃなくてロフトのスタッフもメメタァを好きな子が多くて新宿ロフトとして毎年このイベントをやれているところがあるし、去年よりは足を運んでくれるお客さんの数も増やしたい。

成悟:そうですね。今年30歳になったんですけど、個人的には『年末大感謝祭』は原点に立ち返ると言うか。樋口さんはライブハウス出身のスターを出すという姿勢で常に携わってらっしゃって、4年前に初めて(『年末大感謝祭』の)打ち合わせをしたときに「この日からまた新しい未来を作っていく」って。メメタァはその時点でもう10年近くバンドをやっていて、年齢を重ねてきて後輩やついてきてくれる人たちも増えてきたなかで、この日から未来に向かってできることをやりたいなという気持ちで。だからこの日は若いバンドとかも集めよう、って思って。

樋口:ある若手のバンドのスタッフさんに「『年末大感謝祭』にメッチャ行ってて、好きなイベントでした」って言われたんだけど、そういう方がまた新たなバンドのスタッフとして窓口をやっているわけじゃない? 嬉しいよね、年に1回しかやっていないイベントなのにこの流れが歴史を感じてすごい話だなと思って。これまでの出演者を見ても(今のシーンで)名を馳せるようなアーティストが必ず1〜2組いる感じだし、今年のラインナップにしてもメメタァはじめ絶対に誰かしらいる、っていう自負はすごくある。それと今年はとにかく笑顔で、楽しい1日を作りたいな。それが今年のサブタイトルに出てるよね、すごく良いなと思って!

成悟:「ライブハウスに光を!」って、僕が付けさせてもらったんですけど。まずメメタァとして今年春に『優しさが世界を一つにしたって』というアルバムを出して、そのリード曲が「光の向こうに」で。僕らの2022年、全ライブで余すことなくやってきた今年のテーマ曲みたいなところもあるんですけど、去年ライブハウスを取り戻したところにこれからのライブハウスシーンが輝くように、いま光り輝いているバンドたちを集めたい。年末イベントは他もいろいろあるけどそれに負けないような、そして来てくれる人にとっても何年経っても思い出せるような。そういうのを全て含めて、強い光みたいな1日にしたいなと思ってこのサブタイトルを付けました。僕らがガラガラのロフトでのホールのライブのときから樋口さんは見ててくれて光を当ててくれてたんだし、やっぱりロフトってライブハウスの歴史やキャパシティにしても特別な場所で若いバンドが初めて立てるような場所ではないと思うんですよね。そういう場所で後輩のバンドもそうだけど、お客さんも含めて僕らができることがあればっていうのがすごくあって。

太陽:俺は、2019年に初めて『大感謝祭』を共催させてもらったときにすごくたくさんお客さんがいる中でステージに立たせてもらって、初めてロフトでワンマンでやるという画が見えたんですよ。それまではまだ新宿のマーブルでしかワンマンをしたことがなかったし、それを若いバンドにもちょっと感じてもらえたら今後すごく良いよなぁ、刺激になるだろうなぁ、と思っていて。

──この日のステージに立つことで、アーティストとしての夢がさらに大きく膨らむ日にもなったりするんですね。出演者の発表も楽しみです!

樋口:ラインナップ的には、コロナでも止まることなく精力的に動いてきたバンドが決まってるなって思うし、『年末大感謝祭』に出ることが光だったり希望だったりに感じていたりも多分、するんだよね。それでこの先にミュージシャンとして大成したとき、この日は絶対に忘れない出来事にもなると思う。過去の出演者も結構、『年末大感謝祭』のことをちゃんと覚えてるんだよね。私のほうが「よく覚えてるね!」って言いたくなるぐらい(一同笑)。マカロニえんぴつも(メメタァと共催前の)『年末大感謝祭』がロフトでのデビュー戦なはずで、彼らが学生のときでお友達がたくさん見に来てくれたことをすごく覚えてる。「ロフトでやるんだったら応援しに行くよ、っていっぱい来てくれました」って(笑)。

メメタァというバンドとして、この先に光が見えているから

──『年末大感謝祭』で2022年を締めくくったら、来年2月23日には『メメフェス』が控えています。

太陽:この2つのイベントをちゃんと差別化しようって樋口さんもずっと言ってくれていて。そして今や『メメフェス』でもロフトを使わせていただいていて。

樋口:ロフトのホールもバーも使うし、(新宿の)他のライブハウスも会場だからね。規模感は『年末大感謝祭』の倍ぐらいになるかな。

太陽:『年末大感謝祭』の経験を活かして、次にすぐ『メメフェス』ができている感じはありますよね。

樋口:もともとは新宿のマーブルでずっと育ってきたメメタァだし、新宿でサーキットイベントを自分たちでやりたいっていう意思が、すごく良いなって思ってる。

成悟:『メメフェス』が今回、5周年なんですよ。ロフトを使わせていただくようになってからは3年目で。

太陽:今のメメタァのメンバーになってから、一緒に走ってきてる感じがあるよね。

成悟:『メメフェス』は今のこの4人になってからずっとやってきてて、今回はEggs(=インディーズ・新人アーティストの活動を支援するプラットフォーム)にも入っていただいて、今まではメメタァのこれまでの集約点みたいなイメージでやってきたんですけど、『メメフェス』からさらに広がっていくものを今回はもっとやってみたい、と思って。コロナ禍でもっといろんなバンドと出会ってたりとか、知らない土地に行ってたことが減っちゃって。いろんな人に出会ったり知らないバンドと一緒にやるっていうのを今年は意識して動いていて。そういう意味では1年がかりで『年末大感謝祭』も『メメフェス』も準備して動いている気持ちでバンドをやってますね。

太陽:今年は『大感謝祭』が早くから動いてるってさっき話があったんですけど、『メメフェス』の動きをもっと早くからしよう、となると『年末大感謝祭』も早くしよう、って。それで相乗効果があるんじゃないかっていうことで、今のところはすごく良いテンション感で行けている感じがあるので、例年とは違うぞ! っていう感じがありますね。

樋口:その気概を私も感じられてる。だから私も気合い入れなきゃ! って(笑)、SNSでアップしている告知動画のアイディアなんかも、ね。私も去年はここまで頭が回らなかったけど、ロフトの『年末大感謝祭』としては歴史もあって例年やっているイベントだからこそ、当日までの流れをドキュメントして皆さんにもお見せしても良いのかな、告知のたびに今年はちょっとした映像も出せたら、って。

太陽:メンバーのカワギシ(タカユキ/ベース)が動画も作れて、普段からやってくれているのでそれも活かせたら、とも思って。

樋口:何らかの発表のたびに映像があって、『年末大感謝祭』で全部のライブが終わったら集大成の映像を流すとか。それはカワギシ監督次第ですかね(一同笑)。

──ここには書けない(笑)いろんなアイディアが出てますけど、そのアイディアが実現したら今までにないライブハウスでのイベントになりそう! ってワクワクします。

樋口:2022年のライブハウスのリアル、メメタァそして出演バンドにとってのリアルをこの日に詰め込んで、それを感じていただけたら良いなと思いますね。

成悟:僕はコロナの影響もあって受け身になっていたところもあって、やりたいことを考えるよりも、できる範囲の中でできることをやろうっていう意識のほうを強く持っちゃっていて、自分の中では去年の反省点で。それが、今年そして来年にかけて、これからは自分のやりたいこと・やるべきことが先に来る活動をしたいなとすごく思えるようになって。CDを出してツアーを回れたこともそうだし、ライブに関しても自分的にはそんな気持ちで臨めたので、今、またそういう気持ちでライブをやれているのが幸せだし、リアルに良いなと思えた1年で。

太陽:3月には渋谷クアトロでのワンマンもできたしね、バンドとしてもすごく前に歩けたよね。

──そのクアトロライブを思い出すと、『年末大感謝祭』のサブタイトルにもある“光”を、メメタァ自身が見出したようにわたしには感じられたライブだったんですよね。

太陽:実は、ツアーファイナルのときにお客さんから、全国のライブハウスの店長さんにコメントを書いてもらった冊子をもらってメチャクチャ感動しちゃって。

成悟:嬉しかったね…そういうのも含めて、光が見えた、いや、お客さんにもメメタァというバンドに関わってくれる人からも、見せてもらった光っていうのがいっぱいあって。それが自分的にも希望だし、そういう人たちと協力すればもっともっと良いものが作れるっていうのが、根拠はないかもだけど自信としてあって。光が見えた…確かにバンドをやってきて、この感覚は初めてかもしれないです。目の前のことで一生懸命だったけど、その先に光が見えるのが今は、ありますね。

──頼もしいです。『年末大感謝祭』にいらっしゃるお客様のことを照らしてあげられる日になると確信しています!

樋口:作り上げるこの日が、誰かにとっての明日の希望になったり、2023年に繋がっていくような日になるようにできたら良いなと思っていますね(成悟&太陽も大きくうなずく)。

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