「残っているのは奇跡」…技術レベル高い伽藍形式残る熊谷の集福寺 市文化財指定を記念し特別公開

集福寺の法堂で解説・報告会を行う山下祐樹さん(右)=埼玉県熊谷市下奈良の集福寺

 埼玉県熊谷市下奈良の集福寺の境内・建造物群が7月に市文化財(記念物・史跡)に指定されたのを記念し、同寺で特別公開が行われた。

 集福寺境内と建造物群は仏教の歴史とも関わる寺院境内の建造物群の配置である伽藍(がらん)形式が残されている。建造物群の大半は江戸時代後期の建立だが、伽藍形式を構成する各建造物の技術的な水準が高く、法堂(本堂)や仏殿の建築様式は、当時の社寺建築の変遷を知る上でも貴重な事例とされている。

 市立江南文化財センター学芸員の山下祐樹さん(39)による解説・報告会「集福寺建造物群の技術的意義」も実施。山下さんは「伽藍形式が残っていることは奇跡。これを引き継いできたのは努力のたまもので、文化財を次世代に受け継いでいかなければならない」と語った。集まった大勢の見物客たちは通常では公開されていない仏殿なども含めて熱心に見学していた。

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