西九州新幹線 開業 「かもめ」出発 佐賀・武雄温泉-長崎間 66キロ結ぶ

一日駅長の長濱ねるさん(手前左)と萱嶋創駅長(同右)の出発合図で発車する西九州新幹線「かもめ」=23日午前6時17分、長崎市尾上町、JR長崎駅

 西九州新幹線(武雄温泉-長崎)は23日開業した。九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)の整備計画決定から49年。新鳥栖-武雄温泉を未整備区間として残しつつ、日本最西端の高速鉄道がスタートを切った。新車両の名称は、前日廃止された在来線特急から継承した「かもめ」。長崎、佐賀両県の沿線5市で開業を祝う式典やイベントが開かれた。

 長崎市のJR長崎駅構内で開催した記念式典には関係者約120人が出席。始発列車を担当する西尾麻衣子主任運転士(諫早市出身)が「地域の皆さまに愛され九州の発展に貢献し、世界に誇れる新幹線をつくることに尽力する」と安全宣言をした。
 新幹線ホームで出発式があり、斉藤鉄夫国土交通相や大石賢吾知事らがテープカット。午前6時17分、一日駅長を務めるタレントの長濱ねるさん(長崎市出身)らの合図で始発列車が出発し、大勢が拍手で見送った。
 県や沿線市などが主催する祝賀会では、歴代知事を含む関係者約600人が喜びを分かち合った。JR九州の青柳俊彦会長は終了後の会見で「開業をスタート地点に、地元とも協力してまちづくりを進められるかが重要。新幹線だけでなく、在来線もうまく活用して積み上げていきたい」と述べた。
 同社によると、午後3時までに約8千人が乗車。自由席の乗車率は77%で、最も多かった始発列車は下り139%、上り112%だった。指定席も90%に上った。
 長崎市内では、航空自衛隊「ブルーインパルス」の展示飛行など多様な記念イベントがあり、市民や観光客でにぎわった。長崎駅は混雑し、周辺では交通渋滞が発生した。
 博多・佐賀方面との往来は当面、武雄温泉駅で在来線特急に乗り換えるリレー方式を採用。未整備区間について与党は「フル規格が適当」とし、長崎県やJR九州も求めているが、佐賀県が財政負担など複合的な課題があるとして反対している。23日の祝賀会で大石知事は「関西直通運行を実現することで交流人口を拡大させることが非常に重要」と改めて全線フル規格化に意欲を示した。


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