西九州新幹線 地域浮揚の起爆剤に 沿線市長ら振興へ決意

鏡開きで西九州新幹線開業を祝う関係者=23日午後0時26分、長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 「まちの魅力を高め、発信を」-。西九州新幹線が開業した23日、長崎、佐賀両県の沿線5市の各市長は祝賀会や各駅であった出発式などで、新幹線が地域浮揚の起爆剤となることに大きな期待を寄せた。佐賀県知事は「上下分離方式」の並行在来線となる地域をおもんぱかり、両県の振興に尽くす決意を示した。
 「各市とも個性を生かしたまちづくりを進めてきた」。長崎市の田上富久市長は市内であった祝賀会で沿線市が開業に向け準備を進めてきたと強調した。県都は推計人口が40万人を下回る一方、MICE施設開業など「100年に1度」と呼ばれる変革期を迎えている。田上市長は「学会など、さまざまな理由で長崎を訪れてもらうハブ(拠点)としての機能を果たし、周辺地域への波及効果が大きくなるよう魅力を高めたい」と力を込めた。
 島原半島の玄関口となる諫早市。諫早駅には島原鉄道が乗り入れているほか、新たに半島方面とを結ぶバスターミナルも整備され、結節点としての機能が強化された。大久保潔重市長は「島原半島の自然、食材は魅力的。(半島3市の)自治体、民間の皆さんと連携しながら(この地域の観光資源を)磨き上げていきたい」と抱負を語った。
 人口が増加傾向の大村市。空港と高速道路に新幹線が加わり、交通の利便性向上が期待される。園田裕史市長は「さらに発展させるためにも、移住・定住を促進することが大事。高速交通の“三種の神器”がそろった自治体として全国にPRすることで、大村を訪れてもらい、好きになってほしい」と飛躍を誓った。
 乗換駅となる佐賀県の武雄温泉駅は新幹線44本すべてが停車し、博多方面の特急本数が約2倍になる。武雄市の小松政市長は「武雄は交通が便利になるたびに町が発展してきた。市民が日常の足として新幹線を愛し、使うことで定住や移住を進めていきたい」と先を見据えた。
 佐賀県嬉野市の村上大祐市長は「県境を越えて佐世保市や、波佐見など東彼3町との連携も視野に入れている」とし、西九州地域全体の活性化を目指す。その上で「山陽新幹線に乗り入れる唯一の方法は(新鳥栖-武雄温泉間の)フル規格整備」と必要性を説いた。
 沿線市が開業に沸き立つ中、佐賀県の山口祥義知事は「多くの犠牲の下で成り立っている」と並行在来線となる鹿島市などをおもんぱかった。「さまざまな思いを受け止めながら、佐賀、長崎両県のために全力で頑張っていく」と話した。

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