母の生きたあかし、曲に お寺の住職が作詞作曲 MV完成 佐々・延命寺

ミュージックビデオで登場する風車=北松佐々町、白王山延命寺

 長崎県北松佐々町の白王山延命寺の第5世住職、辻寿徳さん(41)が、2年前になくなった母との死別をきっかけに曲を作製した。その曲が今年、ミュージックビデオ(MV)「いつか黄昏の空で」となった。
 第4世住職を務めていた寿徳さんの母、寿香さん(享年83)が亡くなったのは2020年8月24日。偶然にも寿徳さんの祖母の命日の日だった。突然の別れに寿徳さんは悲しみに暮れたが「母の生きたあかしを形にしたい」と思い、趣味でギターをやっていたことから作詞、作曲をした。込められた願いは「いつか極楽浄土で先に亡くなった人と笑って話せるよう、一日一日を大切に生きたい」
 曲は同年完成し、知人ら一部の人が知っているだけだった。それが今年に入り状況が変わった。かねて知り合いだった佐世保市出身の映画監督、田中慎太郎さんに曲のことを話すと「(曲の)MVを作ろう」と言い出し、作製が決まった。
 MVは親子、芸人コンビ、若いカップルによる三つのストーリーで展開。人と人とのつながりなどを描いている。延命寺でも撮影が行われギターを弾き語りをする寿徳さんのほか、寺に縁のある地域の人々も登場している。
 多くの人々が携わり完成したMV。寿徳さんは「聞いて、見て、大切な人との死別を乗り越えるきっかけにしてもらいたい」と感謝を交えながら語った。MVは動画投稿サイト「ユーチューブ」で視聴できる。

MVの1シーン

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