【アルゼンチン】杉原氏顕彰碑を建立 ホロコースト追悼

 アルゼンチンの首都ブエノスアイレス市のショアー(ヘブライ語でホロコーストの意味)広場で1月26日、ホロコーストの犠牲者を追悼する国立記念碑の落成式が行われ、記念碑の脇に元日本の外交官・杉原千畝(ちうね)氏を含む世界から26人の業績を顕彰する顕彰碑が建立された。 杉原氏は第2次大戦中にユダヤ人にビザを発給し迫害から救った外交官として知られる。

 式典はアルゼンチン法務省の人権および複数文化担当局やブエノスアイレス市、「ホロコースト犠牲者を想起する国際連盟(アルゼンチン支部)」の主催で行われた。

 ラテンアメリカの中でもアルゼンチンはユダヤ人の人口が最も多く、20万人を超えるといわれる。2010年のデータでは約800人のホロコーストを生き延びた生存者がいた。当日、現地ユダヤ系社会からの来賓と諸団体のほか数人の生存者も参加した。

 杉原氏の顕彰碑の刻銘にこだわっていたのは現WUBアルゼンチン支部会長東江ロベルト博士(元ラプラタ報知社長、沖縄民間大使)である。

 ブラジル日系社会の申し入れと亜国移民団体連合会の支援を受け、アルゼンチン政府の法務省・人権および複数の文化担当局に杉原氏を加えるよう要請した。「なんくるないさの精神で頑張ってみた」と東江博士は語る。

 式典でマクリ大統領はビデオを通じてあいさつし、生存者に対して「アルゼンチンに根を下ろし、愛をもって悲惨を乗り越えて生きてきた」と述べた。

(大城リカルド通信員)

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