レッドブルF1代表、自身の創設チームに所属していたピアストリをジュニアプログラムに入れなかったことを悔やむ

 レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーによると、レッドブルはキャリア初期の頃のオスカー・ピアストリをジュニアプログラムに入れる機会を見送っており、現在ホーナーはそのことを悔やんでいるという。

 ルノー・ユーロカップ、FIA F3、FIA F2でタイトルを獲得し、モータースポーツのジュニアシリーズを連覇するという印象強い成績を残したピアストリは、2020年にアルピーヌ(当時のルノー)のドライバーアカデミーに所属していたおかげで、アルピーヌでのF1昇格が決まっていた。しかしマクラーレンからの魅力的なオファーとアルピーヌ側の不透明な契約状況が相まって、21歳のピアストリはアルピーヌのF1シートのオファーを拒否し、マクラーレン加入を決めた。このことにアルピーヌは大いに憤慨した。

 F1のポッドキャスト『Beyond the Grid』の最新版で、ホーナーはアルピーヌとピアストリについてのコメントを避けたが、もしピアストリがレッドブルのジュニアプログラムにいたら、彼は契約で拘束されていただろうと主張した。

「彼はアーデン(ホーナーが設立したチーム)からF4とフォーミュラ・ルノーに参戦していたが、素晴らしい才能を持っているのは明らかだった」とホーナーは語った。

「当時レッドブルには彼のことを検討する機会があったのに、我々はその選択肢を選ばなかったことを私は悔やんでいる」

「それにしても彼がF3やF2で達成したことは驚異的だ。もし彼がここのドライバーだったら、一定期間しっかり鍵をかけて閉じ込められていないわけはなかっただろう」

「私が言ったように、私は関係者ではないので、何が約束されていて、何が反故にされたのか判断することは難しい。だが明らかに、おそらくいくつかの方面では予想外のことが起きたのだ」

2022年F1第3戦オーストラリアGP オスカー・ピアストリ(アルピーヌ リザーブドライバー)

 F1のシリーシーズンは、セバスチャン・ベッテルのF1引退発表がきっかけとなって始まり、ドライバー市場は大きく開かれた。フェルナンド・アロンソはアルピーヌを離れてアストンマーティンへ移籍し、2023年にベッテルの後任になる選択をした。そのために空いたアルピーヌのシートは、ピエール・ガスリーが埋めることを望んでいる。

 レッドブルは、ふさわしい後任が見つかれば、ガスリーをアルファタウリの契約からリリースすることを厭わないと明言した。スーパーライセンスを取得できないことでインディカードライバーのコルトン・ハータがガスリーの後任候補から外れた後、ニック・デ・フリースが候補に浮上してきた。

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、現在レッドブルの育成ドライバーのなかでF1昇格の力のある者はひとりもいないと明言している。しかしそれはレッドブルの若手育成プログラムに対する批判ではないとホーナーは主張している。

「我々は若手への投資を継続しているし、プログラムには素晴らしい若手が何人かいる。カートからF4へと進み、ステップアップしているのだ」

「これはレッドブルが非常にうまくやってきたことだと思う。こうした若手たちにチャンスを与え、若い才能の持ち主たちに投資をする。他では得られないような機会を与えている」

「アイザック・ハジャルは今年F3で素晴らしいデビューシーズンを過ごしている。F2の岩佐(歩夢)は際立ったドライバーだと私は思う。彼らはプログラムに所属するふたりにすぎない」

「リアム・ローソンは厳しい1年を過ごしたが、彼もまた才能がある。デニス・ハウガーはF3ではあれほど圧倒的な強さを見せたが、F2では少々物足りない。だが、そのうちどれだけが彼のせいで、どれだけが機材のせいなのだろうか?」

2022年FIA F2第12戦ザントフォールトのレース2で3位を獲得した岩佐歩夢(ダムス)
2022年F1第14戦ベルギーGP リアム・ローソン(アルファタウリ)

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