週末、至福の朝寝坊が体調不良の原因に!? 専門医が教える“理想的な寝だめ”スタイルとは

「ソーシャル・ジェットラグ」という言葉を聞いたことはありますか?直訳すると“社会的時差ぼけ”?一体どういう意味なのでしょうか。日本睡眠学会所属の坪田聡医師に、SBSラジオ『IPPO』パーソナリティの牧野克彦アナウンサーが聞きました。

たくさん眠れて、スッキリのはずが…

「ソーシャル・ジェットラグ」とは?

牧野:私は今回「ソーシャル・ジェットラグ」という言葉を初めて聞きました。どういう意味なのか教えてください。

坪田:本来、人間には明るい時間帯は起きて活動し、暗くなると寝るという体内時計が備わっているのですが、現代では仕事や勉強、趣味などのために、平日と休日などで起床時間と就寝時間が異なる生活をしている人がいます。

こうした不規則な生活によって生じる睡眠時間のズレを、学術的に「ソーシャル・ジェットラグ」と呼んでいます。このような不規則な生活を続けていると、体内時計はどんどんおかしくなり、体にいろいろな不調が起きてしまいます。

牧野:私もまさにその状態なのかもしれません。平日はラジオのために午前3時半起きなのですが、週末は午前7時過ぎまで寝ていて、体がだるいと感じることがあります。

坪田:平日と休日で起床時刻が違いすぎると、体内時計がおかしくなり、不調をきたしやすくなってしまいます。朝起きて、明るい光を浴びることでその日の体内時計は動き出すのですが、体内時計というのは、大体24時間プラス1時間ぐらいで動いているので、起床時間の差が2時間以内であれば、それほど無理なく調整できますが、それ以上の差があると体への負担が大きくなってしまいます。

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不規則な生活が続くと体にどんな影響が?

牧野:不規則な状態が続くと具体的にどんな不調が起こり得るのでしょうか。

坪田:いろいろ考えられますが、体脂肪が増えて肥満になりやすいことやメタボリックシンドロームにもなりやすいことが知られています。

牧野:メンタルにも影響はありますか。

坪田:気分の落ち込みが強くなって、抑うつ状態になりやすいです。週末が休みの人だと、月〜水曜日くらいまで落ち込みが続く人もいるようです。

牧野:週の初めに気分が上がらないという方は、一度自分の睡眠サイクルを見直してみるとよさそうですね。

坪田:年末年始やお盆など、長い休みが取りやすい時期は、睡眠時間帯がずれやすいので注意が必要です。

牧野:「ソーシャル・ジェットラグ」になってしまった場合は、どのような対処法があるのでしょうか。

坪田:まずは規則正しい生活に戻すことです。日中は明るいところで活発に過ごし、夜はやや暗めの照明の下でリラックスして過ごすことも大切です。

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週末の寝だめは体に悪い?

牧野:なるべく週末も平日と同じようなリズムで過ごすということですね。つい、休みの日に寝だめをしようと思ってしまうのですが、それがよくないのでしょうか。

坪田:休みの日に睡眠時間を長く取ること自体は問題ありません。理想的なのは、休日前夜にいつもより2時間早く寝床につき、休日朝は2時間遅く起きる。そして、日中は、午後3時までに1時間半以内の昼寝をするというスタイルです。これなら、最大5時間半の睡眠時間を確保することができます。

朝、スッキリ起きられない人にアドバイスを!

牧野:目覚めが悪く、なかなか起きられないという人にアドバイスをお願いします。

坪田:朝起きられない人は基本的に睡眠時間が足りていないので、必要十分な睡眠時間の確保が一番重要です。個人差もありますが、大体6〜8時間ぐらいは取れるようにしていただきたいです。部屋が明るくなると目覚めやすくなるので、陽の光が入るよう少しカーテンを開けておいたり、徐々に明るくなるようなシーリングライトを活用したりするのもいいと思います。

寝る前に「明日○時に起きよう」と起床時刻を強く念じておくと、その時間に合わせて目が覚めるようになる自己覚醒法というものもあります。二度寝をする人も多いと思いますが、二度寝は1回20分までにしておくとすっきり目覚められますよ。

牧野:なるほど!昼寝をした方が午後の仕事の効率がいいという話も聞きます。昼寝も1回20分以内ぐらいがいいのでしょうか。

坪田:仕事のある日は、20分以内がいいと思います。ぜひ試してみてください。

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