「ふたつ星」住民ら歓迎 新観光列車に期待、在来線で運行開始 JR九州

千綿駅ホームでふたつ星を見送る住民ら=東彼杵町平似田郷

 西九州新幹線が開業した23日、武雄温泉-長崎の在来線で観光列車「ふたつ星4047(よんまるよんなな)」の運行が始まった。停車駅では住民らが一番列車を歓迎。自治体からは新たな観光資源として期待の声が上がった。
 ふたつ星は有明海沿いを南下する午前便と、大村湾沿いを北上する午後便がある。武雄温泉駅であった出発式で工業デザイナーの水戸岡鋭治氏(75)は「来て見て乗って食べて飲んで、みんなと話をして、新たな鉄道の旅を味わって」と呼びかけた。
 午前便が6分間停車する長崎線の小長井駅(諫早市)では、市立小長井中の2年生21人や住民ら約150人が横断幕を掲げ出迎え。手作りのお土産などを手渡した。乗客は生徒が扮(ふん)したご当地ヒーロー「バス停戦隊フルーツレンジャー」や有明海を写真に収めていた。永尾梨穂さん(14)と谷口苺佳(まいか)さん(14)は「(列車が)めちゃくちゃかっこよかった。地域の方々の協力もあり、いい思い出になった」と笑顔をみせた。
 午後便が10分間停車する大村線の千綿駅(東彼東彼杵町)では約100人が小旗を振り歓迎。住民らが今年の全国茶品評会で日本一を奪還した「そのぎ茶」の缶飲料などを配布。自慢の特産品をアピールした。
 沿線には大村湾を背景に列車を撮影するファンの姿も。佐賀県小城市の市立三日月小4年、中野康太君(9)は前日から家族で、新幹線と在来線特急の新旧「かもめ」やブルーインパルスの展示飛行などを追いかけた。「今度はふたつ星に乗りたい」と目を輝かせた。
 乗客は車窓越しの景色と沿線の歓迎に満足した様子。横浜市の女性公務員(40)は車内で波佐見焼の絵柄転写を体験、スイーツも満喫した。「おもてなしで飽きさせない列車。手を振る人や駅の盛り上がりがうれしかった」と3時間の鉄道旅行を振り返った。
 岡田伊一郎東彼杵町長は「新幹線の沿線自治体で唯一、かもめが止まらない町に、ふたつ星が来てくれた。千綿駅を触れ合いの拠点として、あらためてPRしたい」と期待を込めた。
 ふたつ星は全席指定(定員87)。金―月曜と祝日を中心に運行。乗車券は1カ月前から駅窓口や予約サイトで販売。JR九州によると土日を中心にすでに満席の便がある。


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