「核なき未来」オピニオン賞 最優秀に西山さん 長大レクナ設立10周年記念

受賞の喜びを語る西山さん=長崎市文教町、長崎大

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は24日、設立10周年記念事業「核なき未来」オピニオン賞の最優秀賞に、米国の大学院で核問題を学ぶ西山心さん(23)=福岡市出身=の作品を選んだと発表した。
 西山さんは中学2年で長崎に転校し、活水中・高に在籍。平和学習部に所属するとともに外務省のユース非核特使として活動経験がある。
 受賞作は「核兵器と私たちの未来-ウクライナ危機が問いかけるもの-」。今年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に、戦地から遠く離れた米国の日常にもさまざまな影響が及んだ様を表現。ロシアによる核使用リスクが現実味を帯びる中、小学校の修学旅行で訪れた長崎原爆資料館の展示物に衝撃を受けた体験などを紹介しながら、不安定な核基盤の上に成り立つ生活の「リアル」を塗り替えたいとの思いをつづった。
 同大であった授賞式で西山さんは「オピニオンには核問題を11年間学んできたアカデミックな部分と日常を詰め込んだ。これからも学び続けて長崎に恩返しをしたい」と語った。
 オピニオン賞は、若者に核問題の重要性を訴えるとともに、平和な国際社会の実現に貢献できる人材を育成するのが目的。今年5~7月、16歳以上30歳未満を対象に小論文やエッセーなどを募集。国内外の高校生、大学生、一般人ら54人から応募があり、作家の青来有一氏をはじめレクナやメディア関係者、平和活動家でつくる審査委員会が最優秀賞1点、優秀賞2点を選考した。
 優秀賞はインドの大学院生、アロック・チャンダンさん(26)の「ウクライナ危機と核兵器」と、東京の会社員、青木啓輔さん(29)の「ウクライナ危機が生んだ分断と求められるリアリズム」に決まった。受賞作などはレクナのホームページで公開している。


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