台風「上陸」と「通過」どう違う? “目”が通る場所と距離が決め手だった

 「台風の上陸と通過はどう違うのか」-。南日本新聞の「こちら373」に読者から疑問が寄せられた。18日に九州を北上した台風14号で気象庁は「鹿児島県指宿市付近を通過」という表現を使ったことに、「『上陸』ではないのか」と思った人は多いかもしれない。調べてみると、台風が通る場所と移動距離がカギだった。

 鹿児島地方気象台によると、「上陸」の定義は九州、四国、本州、北海道いずれかの上空に台風の中心がかかること。沖縄本島を含む島は、真上を通った場合でも「通過」になる。台風14号は、18日午後1時半ごろに離島の屋久島付近を通過した。

 定義からすると、台風14号はその後、「指宿市付近に上陸した」でも良さそう。だが、陸地を移動した距離が短く、再び海に出た場合は、通過と呼ぶことがあるという。

 台風関連の表現は気象庁が一元的に決めているため、地方気象台は関与できない。そこで、東京の同庁に聞いてみた。

 池田徹予報官は、九州など4島での上陸と通過の使い分けについて、明確な基準はないとしつつ、「おおむね25キロ以上陸地を通った時は上陸とする場合が多い」と説明する。台風14号は、18日午後5時半ごろに指宿市付近を15キロ前後移動し再び鹿児島湾に出たため、通過という表現を使った。

台風14号が上陸した18日、折れ曲がったマンション建設現場の作業用クレーン=鹿児島市高麗町
撤去されるクレーン=19日、鹿児島市高麗町

© 株式会社南日本新聞社