【新型コロナ】全数把握簡略化初日 医療機関「事務作業は相当楽に」 対象外患者への対応懸念も

全数把握簡略化後の対応を説明する鈴木院長=26日、横浜市中区の関内ゆめクリニック

 新型コロナウイルス感染者の発生届を高齢者などリスクの高い人に限定する全数把握の簡略化が26日、始まった。医療機関や保健所の関係者は事務作業の負担軽減を歓迎する一方で、発生届の作成対象外となった患者への対応を懸念。高齢者らを除く感染者は自ら陽性者として県の窓口に登録することが必要になり、簡略化に伴う対応変更の周知を求める声も上がった。

 「事務作業は相当、楽になった」。

 横浜市中区にある「関内ゆめクリニック」の鈴木ゆめ院長は26日の診療後、こう話した。

 簡略化によって、発生届の作成対象は(1)65歳以上(2)入院が必要(3)重症化リスクがあり、治療薬や酸素投与が必要(4)妊婦─の4類型のいずれかに該当する人に限定された。同クリニックではこの日、午前中のみの診療で4人の発熱患者に対応。2人は陰性で、陽性の2人も発生届対象外だった。

 国のシステム「HER─SYS(ハーシス)」への入力よりも時間が短縮できるとして、同クリニックでは手書きの発生届を保健所にファクスで送信している。8月のピーク時は1日20人近い陽性者に対応し、診療が終わってから約20分かけて発生届を送っていた。

 しかし今回の簡略化によって、26日は人数と年代を記載した用紙の送信で保健所への報告は終わった。小島奈々江看護師は「発生届が作成されないと療養中のフォローアップの対象にはならないので、現場の責任は重くなる。事務作業が減る分、一人一人の患者さんにこれまで以上に丁寧に向き合っていきたい」と力を込めた。今後は感染状況に応じてハーシスでの入力も検討したいという。

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