県立高再編 地域の実情配慮要望へ 県議会文教委、存続危ぶむ声受け

県教委への要望内容を協議する県議会文教委のメンバー

 岡山県教委が2023年度以降、新入生が一定規模を下回る県立高校を再編(統廃合)の対象にするとした「県立高校教育体制整備実施計画」を巡り、県議会文教委員会は26日、再編の判断に当たっては地元自治体の意向を含めた地域の実情に配慮するよう県教委に要望する方針を固めた。計画は19年の策定時に文教委も了承しているが、生徒数の減少が加速し、各地で高校存続を危ぶむ声が高まっているとして踏み切る。

 同計画では、1年生が100人を下回る状況が2年続けば再編の対象、80人を下回る状況が2年続けば翌年度の生徒の募集を停止する―という二つの基準を設定。24年度に対象校などを盛り込む「再編整備アクションプラン」(仮称)を策定することとしている。

 関係者によると、文教委は再編や募集停止の基準適用に際し、地方創生の観点などから文教委や地元自治体、当該の学校の意向に配慮するよう要望。「80人を下回る状況―」の基準に当てはまる場合も直ちに生徒募集を停止せず、「再編に準じた検討」を行うことなどを求める。

 新型コロナウイルス禍に伴ってオンライン授業が普及し、小規模校でも一定の教育環境が確保しやすくなったことを踏まえて再編を検討することも盛り込む。

 この日、文教委のメンバー9人が県庁内で協議し、要望内容を取りまとめた。10月中旬に鍵本芳明教育長に提出することも申し合わせた。

 計画は文教委がパブリックコメント(意見公募)を経て了承した経緯があり、渡辺知典委員長は取材に「当時より少子化は厳しさを増している。より良い教育環境を確保するため再編は避けて通れないと認識しているが、地域の実情を十分考慮してほしい」と話した。

 県立高校教育体制整備実施計画 県教委が2019年2月、県立高の在り方に関して今後10年間(19~28年度)の指針とするため策定。生徒数による再編の基準を初めて示したほか、再編の対象校やその組み合わせ、実施年度を盛り込むアクションプランを作ることを盛り込んだ。一つの学校が2カ所に分かれる「複数校地」の解消も掲げた。

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