全国でも異例 証券会社社員がニセ電話詐欺防ぐ 佐世保署、松尾さんに感謝状

ニセ電話詐欺を防ぎ、感謝状を受け取る松尾さん(右)=佐世保署

 ニセ電話詐欺の被害を未然に防いだとして、佐世保署(荒木秀署長)は、「いちよし証券 佐世保支店」に勤める松尾春喜さん(64)に感謝状を贈った。同署によると、証券会社がニセ電話詐欺の被害を防止したのは長崎県内では7年ぶり。全国的にも年間数件しかなく、珍しいという。
 同署などによると8月24日朝、松尾さんが顧客の市内70代女性に電話すると「相談事があるんだけど…」と言われ、同日昼に女性が来店。話を聞くと、17~24日にかけて「あなたは法に触れる行為をした。刑事事件で刑務所に入るか、保釈金900万円を払うかだ。株を売って保釈金に充てろ」と、防犯協会職員を名乗る男などから複数回電話があったという。
 勤続約45年の松尾さん。日ごろからニセ電話詐欺被害の新聞記事などを見て、客に話していた。女性の電話は「おかしい」と思い、「まずは防犯協会に連絡してみては」と助言した。
 荒木署長から感謝状を受け取った松尾さんは「勇気を持って相談してくれたから被害に遭わずにすんだ」と振り返り、「証券会社で(ニセ電話詐欺の)被害防止は難しいが、一つでも事件を無くす努力をしたい」と話した。
 同署管内では、8月末時点でニセ電話詐欺の認知件数は8件。被害額は約3165万円に上る。


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