核禁会議、日本の参加求め声明 条約の会・長崎 全市町長に賛同要請

日本政府に核兵器禁止条約参加を求める声明を発表した朝長氏(左)ら共同代表5人=長崎市岡町、長崎原爆被災者協議会

 国連が定める「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」の26日、長崎の被爆者団体などでつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」は、日本政府に対し、来年11、12月に米ニューヨークで開催される同条約第2回締約国会議にオブザーバー参加するよう求める声明を発表した。核兵器廃絶の機運を高めるため、年内をめどに県内の全市町長に会の賛同人となるよう要請。各市町で活動報告会の開催も目指す。
 共同代表5人が長崎市内で会見し、被爆者の朝長万左男さん(79)は「核情勢を伝える報告会を各市町で開き、全県に『面』で広がる運動にしたい」と抱負。川野浩一さん(82)は「まず足元の自治体を動かし、政府にもの申したい」と述べた。
 声明は、8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂し「核保有国のエゴにより、核軍縮どころか核軍拡の恐れが出ている」と憂慮。日本の首相で初めて岸田文雄首相が演説したが「現実的な核軍縮の成果は得られなかった」と批判した。声明文は政府と核保有国の大使館に郵送する。
 知事と長崎、雲仙の両市長は既に賛同人に名を連ねており、来月上旬までに大村、諫早の両市長も加わる見込み。
 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(81)は、7月に長崎で面会し被爆証言を伝えたドイツ外相から、26日に手紙が届いたと紹介。「とても心を揺さぶられた。今を生きる若者や将来世代が被爆者の思いを受け止め、継承していくことを願う」などと記されていたという。


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