京セラ・稲盛和夫さんの寄付4500万円基に創設 ひとり親世帯対象の「愛の福祉基金」 42年で2万2606人を支援 鹿児島市

稲盛和夫さん

 ひとり親世帯などを支援する鹿児島市の「愛の福祉基金」は約40年前、京セラ創業者の稲盛和夫さん(8月24日死去)の浄財をきっかけに創設された。子育て環境の整備と格差のない社会を目指し、思いやりの心を大切にする「稲盛イズム」を後世につないでいく方針を官民一体で共有する。賛同する事業者や個人は寄付を通じて支援している。

 1980(昭和55)年、稲盛さんは市に4500万円を寄付。市は、基金条例を制定し、寄付金を基にひとり親世帯の支援制度を創設した。これまでに600件超の寄付があり、その運用益などを活用して、母子・父子家庭世帯の中学1年生に1万円分の図書カードを贈っている。今年8月2日までに2万2606人を支援してきた。

 3~8月には中央殖産(紫原2丁目)、三和開発(郡山町)、サタコンサルタンツ(鷹師2丁目)の3事業者と、吉野町の会社員、末吉弘文さん(46)が市に寄付。感謝状の贈呈式が12日、市役所であった。下鶴隆央市長は「寄付を基金に積み立て、児童福祉のさらなる向上のために役立てていく。全ての子どもが生まれ育った環境に左右されることなく、夢と希望を持てる社会の実現を目指す」と述べた。

 末吉さんは小学校時代に市の支援を受けた恩返しとして寄付した。「今はいろいろな格差がある。少しでも平等に学べる環境を整えてほしい」と述べた。

「愛の福祉基金」寄付への感謝状を受け取る関係者=鹿児島市役所

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