【安倍元首相「国葬」】菅義偉前首相が友人代表で弔辞 遺影に「総理」と呼び掛け裏話披露

国葬会場の様子=27日午前、東京都千代田区

 安倍晋三元首相の国葬が27日午後、東京・日本武道館で執り行われ、菅義偉前首相(衆院神奈川2区)が友人代表として弔辞を述べた。

 菅氏は、出会ったきっかけや焼き鳥屋での再起説得などの裏話を披露し、遺影に向けては「総理」と呼び掛けた。官房長官として仕えた7年8カ月の振る舞いを「覚悟と決断の毎日が続く中にあっても笑顔を絶やさなかった」と涙をこらえ声を詰まらせながら回顧。「日本にとっての真のリーダーでした」とたたえた。

 「平成12(2000)年、日本政府は北朝鮮にコメを送ろうとしていました」。弔辞で菅氏は、当時の自民党総務会で「草の根の国民に届くのならよいが、その保証がない限り軍部を肥やすようなことをすべきでない」と反対論をぶち、それを新聞報道で知った安倍氏からの電話で交流が始まったことを明かした。党総裁選再挑戦へ向けた説得工作については「2人で銀座の焼き鳥屋に行き、一生懸命あなたを口説きました。それが使命だと思ったからです」と説明した。

 「かたりあひて 尽くしし人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」。弔辞の最後に、安倍氏が亡くなる直前まで読んでいた本にあった山県有朋が盟友・伊藤博文をしのんで詠んだ歌を復唱。「今の私自身の思い」と結び、会場から拍手を受けた。

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