精道三川台(長崎)鉄道模型コン初出場で最高賞 リアリティー追求 制作費わずか1600円

最優秀賞に輝いた鉄道模型「夏へのトンネル」を制作した(左から)吉田さん、坂元さん、小嶺さん=長崎市三川町、精道三川台中

 8月6、7の両日、福岡市であった全国高校鉄道模型コンテスト九州大会2022(一般社団法人鉄道模型コンテスト主催)の中学生モジュール部門で、初出場の精道三川台中(長崎市)総合科学部の3人が最高賞の「最優秀賞」を受賞した。線路を中心とした情景模型の出来栄えを競う部門で、リアリティーと低コストにこだわり制作。中学生部門は全国から参加可能なオープン大会で、東北、関東、九州などの計10校の中で頂点に輝いた。
■ど素人の挑戦
 同コンテスト九州大会は今年で2回目。同部員で鉄道ファンの坂元祐月さん(14)=3年=、小嶺慧さん(14)=2年=、吉田祐大さん(13)=1年=が、学校を通じて中学生部門の開催を知り参加を決めた。同部は「中学ロボコン」に毎年出場するなど活発に活動しているが、鉄道模型は“ど素人”。技術教諭の知恵も借り、6月末から約1カ月かけ制作した。
 「挑戦~お金をかけずに、手作りで、こだわりを込めて」が作品のコンセプト。モチーフは、坂元さんお気に入りの兵庫県宝塚市のJR武田尾駅と高知県須崎市のJR安和(あわ)駅。ホームがトンネルに食い込む珍しい構造の武田尾駅と、ホームの眼下に美しい海が広がる安和駅の情景を融合させ、架空の駅を創作した。
 作品はリアリティーを追求。キャンドルゼリーなどを使って海の透明感を出し、テトラポットに波が打ち寄せ白く泡立つ様子も実際とそっくりに再現した。山肌は緑系の3色に染めたスポンジ製の木々が生い茂る。駅周辺のアスファルトはサンドペーパー製。ホームのフェンスの広告には母校の看板も。制作費は「百均」で購入した紙粘土や接着剤など、わずか約1600円に抑えた。
■新幹線もPR
 作品を紹介するプレゼンテーションでは、3人がそうしたこだわりを発表。来場の鉄道ファンらに、9月23日開業の西九州新幹線もPRした。
 3人の作品は、来場者らによる人気投票「投票者が選ぶベストワン賞」でも1位を獲得。「いつまでも見ていたい。ほれぼれする完成度。特に海の色がすてき」(40代女性)、「武田尾駅は乗務で運転しているので親近感が湧きました。低予算でここまで精度を上げたのはすごい」(30代男性)などと好評だった。
 大会は大人から子どもまで楽しめるイベントとして開催。会場には科学、技術、工学、芸術、数学の各分野を複合的に学ぶ教育概念「STEAM(スティーム)教育」について、参加生徒が来場者に紹介するコーナーも設けられ、坂元さんと小嶺さんも案内役を務めた。
 坂元さんは「初出場で分からないことが多く、受賞できるとは思ってなかったので、とてもうれしい。質感にこだわり、できるかぎり本物に近づけたのが良かったと思う。来年は高校部門に出場したい」。小嶺さんは「プレゼンも案内役もとても緊張したが、大会を通して成長できた」、吉田さんは「積極的にアイデアを出すなどチームに貢献できるよう心がけた。来年も出たい」とそれぞれ話した。


© 株式会社長崎新聞社