安倍氏国葬で岡山県内各党が談話 自公は意義強調、野党は批判強め

 安倍晋三元首相の国葬が営まれた27日、岡山県内各党は談話を発表した。自民、公明の政権与党が憲政史上最長の在任期間や外交、経済政策といった安倍氏の実績を踏まえて意義を強調した一方、立憲民主などの野党は実施決定の過程に改めて疑問を呈し、事実上の弔意強制だとして批判を強めた。

 自民県連の天野学幹事長は「国内外からの弔意と弔問に最大限の礼節で応えた式典」と評価し、「長きにわたり卓越したリーダーシップと実行力でかじ取りを担った。遺志を引き継ぎ、直面する諸課題に全身全霊を傾ける」との考えを示した。この日、県連事務所(岡山市北区丸の内)に献花台を設置。訪れた人が花を手向け、遺影に手を合わせた。

 国政で連立を組む公明の谷合正明県本部代表は自身も国葬に参列。「挙行は妥当」とした上で「生前の功績は外交、経済再生など多岐にわたり、憲政史上最長の在任期間、国際社会での高評価と多大だ」と理由を挙げた。

 野党は国葬の法的根拠や概算16億円超の国費支出などを巡って批判を展開。立民県連の柚木道義代表は「賛同の声もある一方、反対がより多い中での実施は大変残念だ。事実上の弔意強制につながり、法的根拠も国会手続きも疑問点は最後まで解消されなかった」と指摘した。

 日本維新の会県支部組織の赤沢幹温副代表は「岸田内閣は国民への説明責任を果たさなかった。誰もが納得する国葬の在り方を次世代に引き継ぐべきだ」、国民民主党県連の高橋徹幹事長は「賛否が分かれる事態になった原因は葬儀にかかる費用などを曖昧にし、十分な説明を怠った政府にある」とコメント。いずれも国葬を執り行う基準や手続きを定める必要性を強調した。

 共産党県委員会の植本完治委員長は「16億円余もの税金支出で、国会に諮らず法的根拠もない。安倍政治を美化し、国民への礼賛の強要だ」と批判。社民党県連の宮田好夫代表は「内心の自由を侵すものと言わざるを得ない。国会の審議を経ない税金支出は財政民主主義を壊す」とし、容認できないとの姿勢を示した。

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