今回の台風15号による大雨災害は「七夕豪雨」以来の大きな被害となりました。昔と比べ、河川の整備は進んだはずなのに、なぜ多くの地区が浸水したのでしょうか。
<植田麻瑚記者>
「静岡市清水区です。巴川のすぐ近くにあるこちらのマンションは駐車場が全て水で埋まってしまっていて車の上部まで水が来ています。人が通れないような状況となっています」
静岡県静岡市清水区では巴川のはん濫などにより、580棟で床上浸水の被害が発生しました。(9月25日時点)
<住民>
「バイクが浸かっちゃった。息子の。こんなになるなんて、七夕豪雨じゃないけど、ここまで上がるとは…」
マンションが浸水した地区の500mほど上流でも、大きな被害が起きていました。
<住民>
「テーブルに荷物を置いて大丈夫だと思ったらもう全滅。ここまで来るとは想定していなかった」
家の中は水浸し。1階は立ち入れないほど水があふれたといいます。
今週オープン予定だった、たこ焼き店では…。
<蛸と小麦と何かしら 川口隆嗣さん>
「冷蔵庫とか冷凍庫なんだけど、ひっくり返っちゃってるんですよ。たこ焼き機は完全に水に埋まった。新品ですよ、開店前ですもん。ここまで(水が)来てるんですよね。1.3m以上です」
Q.再開は?
「めどがつかない」
道具は使えなくなり開店の見通しが立たなくなりました。
浸水被害は、巴川流域の広い範囲に及びました。鳥坂地区では川の氾濫に加えて、近くの山の土砂が流れ込み辺りは、土に覆われました。
<被害を受けた人>
「この上くらいまで(水が来た)」
Q.床上浸水?
「床上そうですね」
1974年7月の「七夕豪雨」です。今回の台風15号による巴川流域の被害は「七夕豪雨」以来とも言われています。24時間で降った雨の量は、1974年の七夕豪雨が観測史上最も多い508ミリ、今回の台風15号が史上2番目の416.5ミリです。
一方、1時間の雨量を比べると、七夕豪雨が83ミリ、今回が107ミリでした。七夕豪雨を経験し大谷川放水路を整備するなど対策は強化されています。しかし、今回は短時間に猛烈な雨が集中したことで、排水が追いつかなかったことがうかがえます。
<被害を受けた人>
「物を1階から2階に運びながら、とにかく濡れてはまずい位牌などを先に上にあげた」
家の1階が水に浸かった人は、大切なものを2階に運んだといいます。異常気象で記録的な大雨が増えている今、自分の住む地域では、どんな被害が想定されているのか。いま一度、ハザードマップなどを確認しておくことも大切です。