「私の中で首相と言えば安倍さん」「今日だって知らなかった」…国葬の一日、ちまたの反応は

安倍元首相の国葬の様子をテレビで見守る人たち=9月27日午後2時35分ごろ、福井県内のショッピングセンター

 安倍晋三元首相の国葬が執り行われた9月27日、福井県内でも、記帳所などで県民が長期政権を担った安倍氏の功績と人柄をしのんだ。決定過程や多額の税金投入に対する違和感は根強く、国葬に対する冷めた見方もあり、さまざまな思いが交錯した。

 午前8時10分過ぎ、県庁の正面玄関に守衛職員2人が弔旗を掲げた。出勤してきた30代男性職員は「心の中で手を合わせた。賛否がある中で県として弔旗を掲揚することには、もう少し議論が必要だったかも」と複雑な思いを口にした。

 敦賀市役所に設けられた記帳所を午前9時ごろに訪れた小浜市の男性(78)は、「いろいろな功績を残されていることが(記帳に訪れた)第一。批判もあると思うが、人のため日本の国のために尽くされたと思う」。敦賀市の女性(54)は「体と生活を犠牲にし、私心を忘れ身を粉にして働いてくださった。日本を大事にする気持ちが伝わったので、お礼を申し上げた」と話した。

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 東京・日本武道館で国葬が始まった午後2時過ぎ。JR福井駅の待合室では、テレビの中継画面を見つめる人もいれば、スマートフォンに視線を落としたままの人も。友人と旅行に来た大阪府の大学4年の女子学生は「私の中で首相と言えば安倍さん。静かに送り出してあげたい」。銃撃事件が起きた奈良県から訪れた70代女性は「事件は衝撃的だったが国葬の是非は別問題。多額のお金をかけ、功績を強調することに違和感がある」と首をかしげた。

 鯖江市のショッピングセンターでは、休憩スペースのテレビから君が代の演奏が響き、お年寄りらが足を止めた。越前市の男性(74)は「せっかく国葬をやるのに説明不足だったのがもったいない」と、最前列のベンチで見つめた。「今日が国葬だって知らなかった。最近テレビを見ていなくて…」と話すのは1歳の娘を連れた越前市の20代女性。銃撃事件でショックを受けたが2カ月半たち関心は薄れたといい、「普段通りの一日」と買い物を続けた。

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