【寄稿】悪いことしていないのに(WEB版)/大﨑一万発

このところのパチンコハイスペック合戦に少々辟易しているまんぱつです。時速7万発だの84%継続だのオール1500だの、ハッキリ言ってもう飽きた。どんだけ煽られたところで期待感や高揚感など他人事、あーまた凄そうなの出るんだぐらいの感想でありまして、徐々に心が動かなくなりつつあります。

なんでかって、端的に言えば「当事者感覚からの乖離」です。そりゃ確かに出ればデカい、速い、ドヤれる。シマを見渡せばドル箱を抱えたお大尽が誰かしら必ず打っているし、SNSには奇跡のようなリザルト画面が連日アップされて挑戦意欲をそそります。しかしその幸運が、我が身にだけはちっとも舞い降りてくれない、のが問題なわけです(笑)。新機種が導入されるたび、次こそは!と打ち回るわけですが、待たされ過ぎて上がりきった期待感の中では、2、3万発ばかし出たところで納得できるものではない。ああ、また「この程度」か……。振り回されるのにほとほと疲れた挙句に、どんだけ魅力的な惹句を掲げた機種が登場しても、自分には関係ない……、と思えてきます。一種シラケの境地とも言える、完全によろしくない精神状態です。

こんな体たらくですから、実際、メチャクチャ負けてまして、現在「パチンコの負けで首が回らない」という立場上あっちゃいけない財務状況にも追い込まれています(こんなの沖スロに狂った以来20数年ぶりです)。もちろん僕も初心者ではありませんから、どんだけ酷い結果でも、その多くが「下振れ」であることは承知しています。自分の台選びや実戦時間から勘定すれば、どう悪く見積もっても月に10万円は負けない計算(平均すれば時間あたりのマイナス期待値が千円を超えていることはない)。が、荒いマシンをメインに打っているここ2年間、月間収支がマイナス30万を突き抜けたことは幾度あっても、上振れだけは頑として訪れてくれないんですよねぇ。月初20万の爆勝ちで、今月は行けるかも!なんてこともあったんですが、その後4日ですべて溶かした時は、心底神も仏もあったもんじゃないとブチ切れ通り越して悲しい気持ちになったものです。依存気味のユーザーが、オカルトや陰謀論に走りたくなる気持ちもよくわかる、というか僕自身が、もはや釘を見るよりデータランプで「当たりそうな台」を探している状態ですから、元パチプロも完全にヤキが回ったものです(笑)。

そんなの自己責任だろ、パチンコが悪いわけではないと冷静なツッコミをくれる業界人各位もいらっしゃるでしょうけど、いや数多のギャンブルよりパチンコのがタチ悪な部分もあります。それは「何ら悪いことをしていない」のに、手酷い負けを喰らう場合が珍しくないことです。回る台を打つ、できる限り粘るのが、今も昔も変わらぬ必勝法。しかしその「間違っていない」打ち方が、より傷口を広げる結果になりかねないのが今のスペックなんですよね。現行のパチンコは確率のブレに乗っかって、たまさか破格の出玉を楽しむ遊びですが、初当り→確変突入→継続→出玉振り分けという何段階ものハードルを超えてやっと得られる夢見心地のひと時に対し、負け圧への下振れ要因が多すぎるわけです。どれが欠けても納得いく出玉には届かない。深追いしても結果がついてこない。僕なんかそんなのばっか(被害妄想)。大数の法則も確率の収束も、そんなの月に100時間やそこらの実戦じゃ体感できるはずもありません。そうなるはるか前に資金が尽きる、「回っても勝てないじゃないか」と不信が募る。それが多くの打ち手の現実であり実感でしょう。

それでも打ってしまう(いや打たされてしまう)のがパチンコの面白さと言えますが、でもこれって完全に「ザ・ギャンブル」のそれ。僕自身ライトユーザーへのアドバイスは、回る台を打てではなく、「投資上限を決めて、勝ってる間に帰りなさい」と、一般ギャンブルへの対峙法と同じことを言うようになりました。現行のハイスペックミドル機がホールの中心である状況が続く限りは、遊技だ時間消費レジャーだと綺麗事を言うのはいい加減ヤメなきゃいけないのではと思います。そして、金銭的な「リスク」に関しても、具体的な数値公開をしていく必要があるんじゃないでしょうか。臭い物に蓋は、もう限界としか思えない……。そんなことを考えながら、今日も16個しか回らないリゼロにブッ込んでいるまんぱつでした。はぁ、ほんま勝ちたい。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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