元棋聖・有吉道夫九段が死去 備前市出身、87歳

現役最後となった棋王戦予選の対局を終え、勝負を振り返る有吉九段=2010年5月、関西将棋会館

 将棋の引退棋士で“火の玉流”と称された攻めの棋風が人気を集めた元棋聖・有吉道夫(ありよし・みちお)九段が27日午後1時49分、誤嚥(ごえん)性肺炎のため兵庫県西宮市内の病院で死去した。87歳。備前市出身。自宅は非公表。葬儀・告別式は30日午後1時から兵庫県西宮市高畑町2の25、エテルノ西宮で。喪主は妻美智子(みちこ)さん。

 倉敷市出身の故・大山康晴15世名人門下で1955年5月にプロと認められる四段に昇段した。居飛車党で矢倉を得意とし、闘志を前面に出して相手陣を攻め崩す将棋は多くのファンを魅了。73年には中原誠16世名人を破って棋聖位を獲得した。

 トップ棋士10人で名人位挑戦権を争う順位戦A級に通算21期在籍。師匠の大山15世名人とは、69年の第28期名人戦をはじめ、計4度タイトルを争い、棋界では珍しい師弟対決として注目を集めた。

 2001年には史上6人目の1000勝を達成。74歳まで現役で指し続け、10年5月に引退した。通算成績は1088勝1002敗。タイトル獲得は棋聖1期で、NHK杯など一般棋戦優勝9回。

 将棋の普及活動にも力を注ぎ、1993年に開館した倉敷市大山名人記念館の初代館長、名誉館長を務めた。女性将棋の公式タイトル戦・大山名人杯倉敷藤花戦では、独特の視点での大盤解説が好評だった。

 74年から89年まで日本将棋連盟の常務理事。2001年に第1回岡山県文化特別顕賞、03年に山陽新聞賞(文化功労)を受賞、06年には旭日双光章を受けた。

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