ミリタリールックのプーマ見参。雨がロバンペラの味方に? ラリーNZ直前現地情報【WRC Topic】

 WRC世界ラリー選手権として10年ぶりに開催される、ラリー・ニュージーランド最大の見どころは、トヨタのカッレ・ロバンペラが初のドライバーズタイトルを獲得できるかどうか。ポイントとなるのは、不利な出走順トップで走行する金曜日のステージで、どれだけ遅れを少なく留めることができるかどうかだ。そこで、実際に金曜日のステージを走り、どのような展開になりそうか予想することにした。

 金曜日は、サービスパークが置かれるオークランドの南側エリアが舞台。とはいってもオークランドから金曜日最初のステージまでは約170kmも離れていて、片道2時間半以上のロングドライブ。ステージに到着するまでにかなり疲れてしまったが、いざステージを走行するとその素晴らしい景色に圧倒された。

 有名な“ワンガ・コースト”のステージは、丘陵地帯のグリーンと海のブルーのコントラストが実に鮮やか。WRCの中でもトップ3に入る美しいステージで、ロングドライブの疲れが一気に吹き飛んだ。

 ただし、グラベル路面には浮き砂利がかなり多く、土曜日のステージよりも路面は滑りやすい。つまり、先頭スタートのロバンぺラにとってはかなり不利な路面コンディションといえる。選手権リーダーとしてルーズグラベルの“掃除役”を担い、かなりタイムロスをする可能性が高い。

 しかも、金曜日は1日だけで全ステージの合計距離の半分以上を走るため、金曜日の遅れを土曜日以降に挽回するのは至難の業だ。

 一方、ロバンペラにとってポジティブな情報もある。それは、週末にかけて天気が下り坂なこと。今週の月曜日まではいい天気が続いていたが、天気予報によれば木曜日からは雨が降りそうだ。路面が雨で湿ればルーズグラベルはかなり落ち着き、ハンデは軽減される。ロバンペラは、今ごろ真剣に雨乞いをしているに違いない!?

整備を受けるトヨタGRヤリス・ラリー1(TOYOTA GAZOO Racing WRT) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド

■トヨタとヒョンデの戦いは今回も激戦必死

 WRCではヨーロッパ圏外での事前テストが規則で禁じられているため、トヨタはフィンランドのテストサイトでニュージーランドを想定したプレイベントテストを実施。チームのエンジニアによれば、ニュージーランドの道とフィンランドの道は比較的似ており、テストではどのドライバーもマシンによい感触を得たようだ。

 ただし、ドイツにファクトリーを構えるヒョンデも、今年からチームのテストサイトをフィンランドに移したため、トヨタと同じような条件でテストをすることができる。直近の3戦で3勝しているヒョンデと、ここでタイトルを決めたいトヨタの戦いは、今回もかなり激しくなりそうだ。

 オークランドのウォーターフロントに設けられるサービスパークは、まだ準備段階ということもあるが、フライアウェイイベントということで、ヨーロッパイベントよりも華やかさにやや欠けていた。とくに、Mスポーツ・フォードは今回アドリアン・フルモーが欠場となったためワークスはクレイグ・ブリーンとガス・グリーンスミスの2台体制。サービスは少々寂しい雰囲気だった。

 しかし、今回はプライベーターのロレンツォ・ベルテッリが自らのチームからフォード・プーマ・ラリー1でエントリー。そのマシンのカラーリングはミリテリーテイストで、まるで軍用車両のような迫力が。ラグジュアリーブランド、プラダの御曹司であるベルテッリだけに、カラーリングにはかなりこだりが感じられる。

ラリー・ニュージーランドは今年、WRCイベントとして2012年以来、10年ぶりに復活を果たす
ラリーが行われる路面はグラベル(未舗装路)だが、スムーズでフィンランドと似ているという
バンクがついたコーナーが多いのがラリー・ニュージーランドのステージの特徴のひとつ
WRC第11戦ラリー・ニュージーランドは、北島のオークランドを中心に開催される
4連勝を狙うヒョンデ・シェル・モビスWRT
トヨタ・カローラレビン 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
プラダの御曹司であるロレンツォ・ベルテッリがドライブするフォード・プーマ・ラリー1
軍用車両を思わせるカラーリングをまとったフォード・プーマ・ラリー1(ロレンツォ・ベルテッリ車)
Mスポーツ・フォードWRTは今回、クレイグ・ブリーンとガス・グリーンスミスの2台体制。アドリアン・フルモーは欠場となる
サービスパークに展開されるTOYOTA GAZOO Racingブース

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