女子高生らが海中遺跡の遺構を発見 船係留「もやい石」など多数

船を係留するため人工的に削られた「はなぐり岩」を説明する羽間さん。岩にロープをくくりつけるための穴が空いている(京都府京丹後市久美浜町)

 京都府京丹後市久美浜町の漁港で、丹後の海中に眠る遺跡を探すプロジェクトに挑戦していた同市の高校生が24日、調査結果の現地説明会に臨んだ。丹後地域での本格的な水中遺跡調査は初めてで、江戸時代以前に船を係留するために使われた遺構を多数確認し、「遺跡が意外と身近にあることを知ってもらえたらうれしい」と話した。

 京丹後市に住む羽間綾音さん(17)で、学校の図書館にあった本を読んで水中考古学を知り、地元の海にも遺跡が眠っているかもしれないと関心を持った。SNS(交流サイト)を通じて専門家に連絡を取り、今年3月に調査費用をクラウドファンディングで募集。353人の支援者から目標を上回る400万円を集め、9月19日から5日間調査した。

 水中考古学者の佐々木ランディさん(46)=福岡県=やプロのダイバーの協力のもと、久美浜町西部の旭漁港一帯で調査したところ、船を係留するために人工的に削られた「もやい石」や「はなぐり岩」が海岸沿いの約30カ所で見つかった。江戸時代に大型の船から小型の船に積み荷を移し替えていた場所と推測され、佐々木さんによると「狭い範囲にここまで多くの遺構が残っているのは非常に珍しい」という。

 羽間さんはソナーや潜水による探査にも挑戦した。今後も研究は続けていくとし、「調査を通じて、海を大切にする意識が広がっていけば」と願っていた。

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