飲むコロナ薬でオミクロン株の症状治る時間短く 塩野義製薬の治療薬「エンシトレルビル フマル酸」、最終段階治験で効果確認

「オミクロン株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 塩野義製薬は9月28日、新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬として開発中のエンシトレルビル フマル酸について、最終段階の臨床試験(治験)で主要評価項目を達成したと発表した。オミクロン株に特徴的な5症状が消えるまでの期間を短縮させる効果を確認した。

 臨床試験は1日1回、5日間経口投与した際の臨床症状の改善効果を検証することを目的に、軽症・中等症患者を対象に実施した。主要評価項目は、発症から72時間未満にオミクロン株流行期に国内で共通してみられる特徴的な5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、けん怠感 (疲労感))の消失までの時間。

 開発した薬の投与によって対象患者集団の5症状が消失するまでの時間をプラセボ群(治療効果のない薬)と比較して約24時間短縮され、統計学的に有意な症状改善効果が確認されたという。同社は「これまでに実施した臨床試験と同様に優れた抗ウイルス効果が示されました。いずれの用量においても、本薬の投与による重篤な副作用や死亡例の報告はなく、これまでの試験と同様の良好な忍容性と安全性が確認されております」としている。

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