文芸誌編集長・前田速夫さんの新刊『老年の読書』が圧巻すぎる!老いと死を考察した名著を50冊選び話題呼ぶ

文芸誌「新潮」の前編集長・前田 速夫さん(78歳)が今月22日、「老いと死」にまつわる古今東西の名著のなかから、特に“シニア世代などにおすすめの約50冊”を選び書籍で発表したところ、SNSなどでもさっそく話題に上っています。

たとえば井伏鱒二の『厄除け詩集』に収録された名言の一つが、「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」。
ネットユーザーからは「短い言葉に深い想いが込められていますね」といった感想も寄せられました。

文芸界のプロフェッショナル、前田さんが選りすぐった“先人の教え”のなかから、お気に入りの名言を見つけてみませんか。

シニアにおすすめ『老年の読書』発刊!

読書の秋を迎えた9月22日、シニアにおすすめの新刊『老年の読書』(前田 速夫著)が新潮社からリリースされました。

前田 速夫氏(撮影:西村義次氏)

本書のなかで前田 速夫さんは、このように綴っています。

老いと死は、どんな偉人にも、どんな平凡な人間にも、百パーセント間違いなく訪れる。
その老年をどう生き、この世との別れをどう済ませておくか、これはなかなかの難題である。
さればこそ、古今の名著をひもといて、偉人達人の境地に、一歩でも半歩でも近づきたいと思うのだ。
老年の読書は、みずからの老いをどう生き、どう死を迎えるかに直結している。
そのことを考えるのに、本書がいくらかでもお役に立てれば幸いである。』

老いと死を綴った名著から格言抜き出す

発行元の新潮社は、こう説明しています。

本書は、自身も老境を迎え闘病も体験した前田 速夫氏が、古代ギリシア・ローマのテオプラストスやキケロなどの文人・哲学者から現代日本の山田風太郎や古井由吉などの作家まで、老いと死について綴られた数多くの名著から「老いに克つ、老いに向き合う、老いの悩みに答える」ための箴言を抜き出し、懇切に解説を加えた読書案内です。

本書で紹介する主な名著

キケロ『老年について』
セネカ『生の短さについて』
テオプラストス『人さまざま』
モンテーニュ『随想録』
鴨長明『方丈記』
吉田兼好『徒然草』
シェイクスピア『リア王』
トルストイ『イワン・イリッチの死』
チェーホフ『退屈な話』
永井荷風『断腸亭日乗』
井伏鱒二『厄除け詩集』
川端康成『眠れる美女』
谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』
室生犀星『われはうたえども やぶれかぶれ』
宇野千代『幸福』
田辺聖子『姥ざかり』
内田百閒『日没閉門』
木山捷平『軽石』
高見順『死の淵より』
色川武大『狂人日記』
耕治人『そうかもしれない』
古井由吉『白暗淵』
小島信夫『うるわしき日々』
藤枝静男『田紳有楽』
吉田健一『時間』
山田風太郎『人間臨終図巻』
佐野洋子『がんばりません』
冨士正晴『どうなとなれ』
――など多数。

本書で紹介する「老いと死」にまつわる名言(一例)

❑「わしにとって老年は軽いのだ。そして煩わしくないどころか、喜ばしくさえあるのだ」(キケロ『老年について』中務哲郎訳、岩波文庫より)

❑「死ぬ術は生涯をかけて学び取らねばならないものなのである」(セネカ『生の短さについて 他二篇』大西英文訳、岩波文庫より)

❑「太陽と死とは、じっとして見てはいられない」(ラ・ロシュフコオ『箴言と考察』内藤濯訳、岩波文庫より)

❑「不知(しらず)、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る」(鴨長明『方丈記』『方丈記 発心集』三木紀人校注、新潮日本古典集成より)

❑「命長ければ辱(はぢ)多し。長くとも、四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ」(吉田兼好『徒然草』木藤才蔵校注、新潮日本古典集成より)

❑「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」(井伏鱒二『厄除け詩集』講談社文芸文庫より)

著書で読売文学賞受賞

【著者紹介】前田 速夫(まえだ はやお)
1944年、福井県生まれ。東京大学文学部英米文学科卒業。
68年、新潮社入社。95年から2003年まで文芸誌「新潮」編集長を務める。
著書は『異界歴程』『余多歩き 菊池山哉の人と学問』(読売文学賞受賞)、
『白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って』など多数。

【読書の秋におすすめの本】
⑴書名:老年の読書
⑵著者:前田 速夫
⑶発売:2022年9月22日
⑷造本:新潮選書(四六判変型ソフトカバー)
⑸定価:1,650円(税込)

本書の詳細はこちら

この記事と画像の出典:㈱新潮社 公式サイト

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