刑事初公判は10月25日 那須雪崩事故 3教諭、起訴内容否認へ 予見可能性焦点か

宇都宮地裁

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた男性教諭3人の初公判が、10月25日に宇都宮地裁(瀧岡俊文(たきおかとしふみ)裁判長)で開かれることが28日、地裁への取材で分かった。関係者によると、3人は起訴内容を否認するとみられる。3人の雪崩発生の予見可能性を地裁がどう判断するかが焦点となりそうだ。

 3人は、事故当時の県高校体育連盟(高体連)登山専門部専門委員長だった男性教諭(56)、副委員長で亡くなった8人のいた班を引率していた男性教諭(53)、前任の委員長で後続の班を引率していた男性教諭(59)。

 関係者によると、地裁や検察側、弁護側による非公開の協議で、初公判を10月25日午後1時半から開くと決めた。6遺族が被害者参加制度を利用して公判に加わる予定だ。

 起訴状は、3人が17年3月27日朝、新たな積雪などから重大な雪崩事故の発生が容易に予想されたのに、情報収集や安全な訓練区域の設定を行わず、那須町湯本のスキー場周辺で漫然と深雪歩行訓練を行い、雪崩に巻き込まれた8人を死亡させ、生徒5人にけがをさせた、としている。

 8人のいた班を引率していた男性教諭と後続の班を引率していた男性教諭については、訓練中にそれぞれ雪崩発生が予想される斜面を認識したのに、生徒に訓練の中止を指示したり、無線で連絡して別の班に情報共有したりしなかった、ともしている。地検が2月に同罪で在宅起訴していた。

 雪崩事故を巡っては、5遺族が県や県高体連、3教諭に損害賠償を求めた民事訴訟が地裁で続いており、3教諭側は雪崩発生の予見可能性を否定している。

© 株式会社下野新聞社