西日本豪雨 最後の仮設団地撤去へ 岡山県方針 なお「みなし」7世帯

全ての世帯が退去し、岡山県が撤去方針を固めた二万仮設団地=9月中旬、倉敷市真備町上二万

 2018年7月に発生した西日本豪雨の被災者向け建設型仮設団地のうち、岡山県内で唯一となっている「二万仮設団地」(倉敷市真備町上二万)の入居者全員が退去し、県が建物を撤去する方針を固めたことが28日、関係者への取材で分かった。10月中旬にも着工し、最大で700人を超える被災者が身を寄せた県内の建設型仮設団地は8カ所全てが姿を消す。

 郷土に戦後最大級の水害をもたらした豪雨からの復興は発生4年余りを経て大きな節目を迎える。一方で今なお、民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」での暮らしを余儀なくされている被災者もおり、個々の境遇に寄り添った支援の継続が求められる。

 二万仮設団地(プレハブ25戸)は18年9月、二万地区コミュニティ広場に設けられた。ピーク時は22世帯57人が暮らしたが、自宅再建などに伴って徐々に退去が進んでいた。関係者によると、最後まで入居していた2世帯5人が28日までに退去したという。

 豪雨では県内で約8200棟が全半壊し、県などは被害が大きかった倉敷市の6カ所、総社市の2カ所に計312戸分の建設型仮設団地を整備。最も入居が多かった18年10月末時点では計301世帯719人が住まいの確保や事業の再開に取り組みながら生活の拠点としていた。

 県内での復旧復興を巡っては、破損・崩落した河川や道路など約2800カ所を元通りにする工事の大半が完了。倉敷市はこうした状況も踏まえ、9月定例市議会に提出した22年度一般会計補正予算案にハード整備などに充てる豪雨関連経費を発生後初めて計上しなかった。

 一方、みなし仮設には現在も7世帯17人が入居する。被災地では地域コミュニティーの再生といった課題にも直面しており、甚大な被害を受けた同市真備町地区は豪雨を境に人口が減少し、住宅解体後の更地が目立つエリアもある。

 伊原木隆太知事は28日の山陽新聞社の取材に対し「(仮設団地の撤去について)現時点では詳しくコメントできないが、住民の努力によって復興は着実に進んでいる。引き続き被災者の暮らしの再建に全力を尽くす決意だ」と述べた。

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