「長崎特化した観光人材を」 フリーテレビプロデューサー・菅賢治さん(67)

「そこでしか味わえない体験や文化をPRすることが大切」と語る菅さん=東京都内

 西九州新幹線の開業は、観光のPRの仕方を見直すいいタイミングだと思います。出身地の佐世保市はおもしろいところはあるけれど点々としていて、何を見せたいのか聞かれると「うーん、ちょっと待てよ」と悩む。番組スタッフと長崎市に行った時は、どこに行けば長崎グルメを味わえるか分からなかった。ビジネスとして「観光」を考えた時に、これではだめですよね。初めて来た人でも分かるようにしないといけない。
 自分が住むまちのことを知らない人は多いと思います。若い人たちが自分のまちについて学び、長崎の絶対的な知名度を生かして「長崎グルメ」「長崎観光」などのテーマで小雑誌やユーチューブで紹介する方法もある。東京の制作会社や広告代理店が必ずしも動画を作るのが上手かと言えばそうではない。地元の人の作品には、まちを愛するが故の目線があるはず。地元を盛り上げるためには、ユーチューバーなど観光人材を育てる以外にないと思います。「坂道のプロ」「半島のプロ」というように一つの分野に特化した人材がいていい。
 県全体がにぎわうために何ができるか考えていく必要もありますよね。例えば宇都宮は餃子(ぎょうざ)の発祥地ではないのに、そのイメージが根付いている。これは「発祥」「元祖」と言わなくても地域の努力で人が集まる良い例。きちんとストーリーを作って、そこでしか味わえない体験や文化をPRできれば、新幹線の沿線自治体以外でも観光客を呼び込むことができると思います。
 長崎で番組を作るとしたら、五島列島や対馬の昭和のままの風景を映したいし、歴史を考えながら長崎市内を回りたいですね。ドラマ仕立てで各時代を解説したらおもしろいかなと思う。長崎ほど歴史や文化がある県は珍しい。生かさない手はないと思います。

 【略歴】すが・けんじ 佐世保市出身。県立佐世保北高、日本大芸術学部放送学科卒。1988年日本テレビ入社。「ガースー」の愛称で知られ「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「恋のから騒ぎ」「踊る!さんま御殿!!」など人気番組を企画演出。2014年日本テレビ退社。佐世保市地方創生プロジェクトコーディネーターを務める。


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