青山のようにフォアハンド両手打ちで活躍した5人の選手とは?

写真は「全豪オープン」での青山

「基本的に僕は、初めて持ったラケットがすごく重かったから、両手フォアハンドとバックハンドでプレーするようになった」 ビヨン・ボルグ(スウェーデン)

フォアハンドとバックハンドは、テニスにおいて最も頻繁に用いられる2種類のショットである。フォアハンド・ストロークは選手の利き手側から始まり、体の反対側に振り切る形で打たれる。逆に、バックハンドは利き手の反対側から始まり、利き手側に振り切って終わる。

テニスラケットの握り方は様々だ。ほとんどの選手はフォアハンド・ストロークを打つ時は片手で握る。ラケットの持ち手部分のベベル(8つの面)を基準にすると、片手フォアハンドでのラケットの握り方はいろいろだ。この握りはテニスのルールやコートの球足の速さ、そしてラケット技術の進化に合わせて発展した。

両手フォアハンドは、テニスでは稀にしか見られないショットの一つだ。1940年代から1950年代にかけて活躍したテニス選手のパンチョ・セグラ(アメリカ)が、両手フォアハンドを用いた最初期の選手の一人であり、最も活躍した選手の一人でもある。セグラの最大のライバルであったジャック・クレーマー(アメリカ)は、そのショットを「テニス史上で唯一最高のショット」と表現した。

他の全ての握り方と同じように、両手フォアハンドには利点と欠点がある。両手フォアハンドはラケットを意のままに操ることに役立つが、一度ショットを振り抜くと、両手が一ヶ所に固定されてしまうことがある。これにより、選手はラケットでさらなるスピードを生み出せなくなる。

このような特徴を持つ両手フォアハンドで活躍してきた選手の一人は、日本の女子ダブルスのトップ選手の一人である青山修子(日本/近藤乳業)だ。日本の女子選手は海外の選手に比べて両手打ちフォアハンドの選手が多いようだが、青山はダブルスの自己最高世界ランキング4位、ツアー大会で通算17回優勝と、大きな成功を収めている。そんな青山のように、海外で両手フォアハンドを駆使して成功した5人の特筆すべき選手を、スポーツウェブメディア Sportskeedaが紹介している。

1.ファブリス・サントーロ(フランス)

サントーロは、テニス界で力の変遷があった時代を通してプレーしていた。1989年にプロに転向したサントーロは、史上最長に数えられるプロ生活を2010年に終わらせた。世界ランキングでは10位以内に入ることはなかったが、トップ10選手から40試合で勝利を挙げた。現役中に6つのシングルスタイトルを獲得し、グランドスラムではベスト8に進出したことが1度あり、1992年の「バルセロナオリンピック」でも準々決勝に進出した。

サントーロはダブルスで特筆すべき成功を収め、2005年「全仏オープン」の混合ダブルスと、同年の「テニス・マスターズ・カップ(現在の“ATPファイナルズ”)」で優勝。また1991年と2001年の2度の「デビスカップ」でフランスが優勝した時のメンバーであった。

サントーロのフォアハンドは、よく対戦相手を当惑させた。他の多くの選手と違い、サントーロはこの握り方でも十分にフォアハンドを操ってトップスピンを生み出すことができた。フォアハンドでスライスを打つことも多く、それによってしばしば対戦相手の強力なグラウンドストロークを無力化した。

2.モニカ・セレス(アメリカ)

元世界ランキング1位のセレスは、グランドスラムのシングルスで9度優勝。もしも1993年の刺傷事件に巻き込まれていなければ最高の選手の一人であっただろうとされることが多く、キャリアを通して合計53個のシングルスタイトルを獲得。レジェンド選手であるシュテフィ・グラフ(ドイツ)の最大のライバルの一人だった。女子の国別対抗戦「フェドカップ」で3度優勝し、2000年の「シドニーオリンピック」で銅メダルを獲得したセレスは、両手フォアハンドでのプレーで知られていた。

セレスが両手フォアハンドを身に着けるのを助けたのは彼女の父だった。そのフォアハンドは、両手でラケットを握りながら生み出す鋭いクロスコートのアングルが特徴的だった。そのショットはフラットで、ウィナーの数を積み上げるに十分な速さを生み出した。セレスが左利きだと知らない人には、彼女のフォアハンドは右利きの選手の両手バックハンドのように見えただろう。

3.マリオン・バルトリ(フランス)

元世界ランキング7位のマリオン・バルトリは、2013年に「ウィンブルドン」の優勝トロフィーであるローズウォーター・ディッシュを手に入れ、キャリア最大の栄誉を達成した。シングルスでは全てのグランドスラムで準々決勝以上に進出。ダブルスでも優れたキャリアを送り、ダブルス世界ランキングは最高で15位に到達。バルトリのプレースタイルには、セレスが強い影響を与えた。1992年の「全仏オープン」でのグラフとセレスの決勝を見たバルトリの父が、娘に両手フォアハンドを教えようと決めたのだ。バルトリは、両手フォアハンドのおかげで、フォアハンドのショットをよりうまく操ることができるようになったと語っていた。

セレス同様、バルトリも攻撃的な両手フォアハンドの使い手だった。バルトリの武器の中でこのショットがとても重要であったため、彼女が使うプリンスのラケット全てがニューヨークに送られ、バルトリの両手フォアハンドに合うように長さを調整された。バルトリは2013年に引退し、選手生活を通してシングルスで8つ、ダブルスで3つのタイトルを獲得した。

4.シェイ・スーウェイ(台湾)

魔法使いのように巧みなショットを放つことで知られ、ツアー屈指の型破りな選手である元ダブルス女王のシェイも、両手フォアハンドの使い手だ。四大大会のダブルスで4度優勝し、2013年「WTAファイナルズ」を含むキャリア通算30のダブルスタイトルを獲得している。シングルスでもツアーレベルで3度優勝しており、キャリアハイランキングは23位。

シェイの両手フォアハンドはベースラインから放たれれば強力にもなり、ドロップショットやスライスを打つ時には精確さを発揮する。シェイのフォアハンドは、フォアハンド側からスライスを打つことができるという点も特徴的だ。

5.ペン・シューアイ(中国)

元ダブルス世界1位でシングルスでは世界14位に達したこともあるペンも、現代テニスでは数少ない両手フォアハンドの使い手の一人だ。グランドスラムのダブルスで2度優勝を果たしており、全てのグランドスラムでベスト4以上に進出している。優勝した2度の四大大会では、同じく両手フォアハンドを使うシェイとペアを組んでいた。

ペンのフォアハンドは、アグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)、キム・クライシュテルス(ベルギー)、エレナ・ヤンコビッチ(セルビア)、マルチナ・ヒンギス(スイス)といったトップ10選手たちから勝利を挙げられるほどに効果的であった。ペンは2013年「WTAファイナルズ」のダブルス優勝者であり、この時もシェイと組んでいた。ペンは2022年2月に引退するまでに、ツアーレベルのダブルスで23のタイトルを獲得した。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」での青山
(Photo by Mackenzie Sweetnam/Getty Images)

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