違法額1会派5万円に減 2016年度栃木県議会政活費控訴審

 2016年度に栃木県議会10会派に交付された政務活動費(政活費)のうち約6852万円が違法・不当な支出だとして、市民オンブズパーソン栃木が福田富一(ふくだとみかず)知事に各会派へ返還を請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。木納敏和(きのうとしかず)裁判長は、3会派の約428万円を違法と認定した一審宇都宮地裁判決を一部取り消し、無所属の会の約5万円だけを違法と認定し、ほかの会派に対する請求を棄却した。原告側は上告受理を申し立てる方針。

 一審判決は、とちぎ自民党議員会が政活費に充てた214万円、民進党・無所属クラブ(当時)の209万円も違法な支出と認定。会派や所属議員が雇用した職員の人件費について、「資料整理」「政務活動事務補助」などの業務内容は、政務活動に関わる以外の部分があることを推認させるなどとし、一部を違法と判断していた。

 一方、高裁判決は、業務内容の各記述は具体的内容が明らかではないが、使途基準に関するマニュアルの記載例に沿ったものや記載例を抽象化したもので、政務活動の補助業務以外に従事したと直ちに認めることはできないなどと判示した。

 マニュアルは法規範性を持たず考慮要素に過ぎないため、仮に一部支出がマニュアルの規定や手続きに沿っていなくても直ちに違法とはならないとも示した。

 パーソン栃木の川上淳(かわかみじゅん)弁護士は「抽象的な記載だけで適法とした判決は、政活費の問題を非常にゆるくとらえている。一般の感覚からかけ離れている」と批判した。

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