FC今治の元日本代表DF駒野友一に聞いた!「W杯2ヶ月前の心境」「冨安のSB起用」「長友への想い」

現代サッカーにおいて非常に重要な役割を担うポジションとなっているサイドバック。

日本代表でも山根視来や中山雄太といったパス出しに優れたタイプの選手が台頭し、酒井宏樹や長友佑都とポジションを争っている。

そんな日本代表のサイドバックを長く務めた選手の一人が、現在FC今治でプレーする駒野友一だ。

2006年のドイツ大会、2010年の南アフリカ大会と、2度のワールドカップに出場。特に南アフリカでは右サイドバックのレギュラーを務めた。

そこでQolyでは、41歳になった今も成長を続ける元日本代表サイドバックに単独インタビュー!

前編となる今回は、4年目を迎えた今治でのプレーから、ワールドカップでの経験、現在の日本代表や元チームメイトたち、さらには海外サッカーについていろいろ聞いた。

(取材日:2022年9月16日)

FC今治は「どんどん強くなっていくチーム」

――先日のギラヴァンツ北九州戦でPKにつながったキック、相変わらずうまいなぁと感じました。裏に出したボールです。結構難しいボールだと思うんですけどどんな感じで出したのですか?

ああいう形は昔から出していたボールでしたし、ディフェンスと味方の位置を見て、出すことを考えてああいうボールになりました。

――FC今治で今年4年目になります。今治というチームをどういうふうに感じてますか?

すごく若い選手も伸びしろのある選手もたくさんいますし、面白いプレーをする選手も多いです。どんどん強くなっていくチームだなと思います。

――今治に来てからの自身の中での変化、ピッチ内外を含めて何かあります?

やっぱり若手に指導というか、アドバイスを言ったり言葉をかけることはここに来て増えました。

――今治では今年5月、育成型期限付き移籍で清水エスパルスから加わった千葉寛汰選手も印象的な選手です。ちょうどU-19日本代表へ行っていきなりゴールを量産しましたが、彼の印象はどうでしょう?

前への推進力がありますし、シュートのミート力もあります。U-19に行っていきなりダブルハットトリックを取りましたし(※グアム戦)、その勢いで帰ってきてもらっていたいですね。

自分たちも帰ってくるまでに昇格争いをして、最後の勢いを寛汰に持って帰ってきてもらって、チームに還元してもらいたいと思います。

――今治でお気に入りの場所はありますか?コロナ禍で外出ができなくなったりとかもあるとは思いますが。

やっぱり海が近いので、意外とと言ってはいけないですけど、すごく綺麗な透明度で、海がめちゃめちゃ綺麗です。

「高校3年生だと思ったら2年生だった」冨安

――カタールワールドカップまで、あと2ヶ月です。駒野選手は2006年と2010年の2大会に出場しましたが、このくらいの時期というのは選手はどんな心境で過ごしていますか?

まだリーグ戦もやっているので、そこまで意識をしている時期ではないかなと思います。

自分自身は考えないようにしていますけど、やはり周りからそういう情報だったり話があるので、どうしてもワールドカップのことは頭にはあります。

――今の日本代表で気になるというか、個人的に印象的な選手はいますか?

サイドバックのことでいえば、やはり山根視来選手ですかね。

所属の川崎フロンターレではどちらかというとクロッサーではなく、内側から走り込んでいったりするタイプです。そういう選手が世界と戦った時にどこまで相手が対応できるか。どこまで通用するかというのは見てみたいです。

――主力の一人である冨安健洋選手はアビスパ福岡時代にチームメイトでした。福岡で冨安選手が出てきた時の印象はどうでした?

最初は高校3年生だと思っていたんですけど、その時はまだ2年生で(笑)。2年生には見えないくらいすごく堂々としていました。

練習に対しても意気込みというか、全体練習が終わっても1時間くらい残って練習していました。しかもその頃から、練習後にササミとか(笑)体のことを考えて食べていたのですごい意識だなと思っていました。

――富安選手は所属するアーセナルで主に右サイドバックとして起用されています。駒野選手は冨安選手のサイドバックをどんなふうに見ていますか?

そつなくやっているなとは思いますし、ボランチもやるので、やっぱりどこでもやれる選手なんだなと思いました。

(福岡時代)本人は「ボランチでやりたい」と言葉では言っていましたけど、まだやらせてもらっていないようですね(笑)。

――日本代表では、駒野選手も一緒にプレーしたの長友選手が現在もチームの大きな力になっています。長友選手への想いというか、今の彼のプレーを見てどんなことを感じますか?

やっぱり昔から今と変わらず、すごくポジティブで、うまくなることだけを考えてやっているからこそ今もレギュラーで出ているわけですし、ああいう雰囲気を持っているからチームも常に明るく前に進んでいると思います。

衝撃だった「スナイデルのミドルシュート」

――駒野選手は2006年のドイツ大会でワールドカップに初出場しましたが、出場機会もそれほどなく悔しい思いをされたと思います。それを経ての4年後、南アフリカ大会では右サイドバックとして全試合に出場しました。2つの大会を振り返って、ワールドカップはどういうものだったと感じていますか?

僕自身、クラブでは世界でプレーしていません。その当時もそうですし今もそうですけど、海外でやるチャンスがなかったので、日本代表の親善試合や公式戦でしか海外の選手と対戦することはありませんでした。

やはり一歩の寄せやミドルシュートの正確性、日本人にはない距離から打ってくるといったところは海外とやってみてすごいなと思いました。

――印象的だった対戦相手は?

対戦相手というか、オランダ戦のあのミドルシュート(※南アW杯でのスナイデル選手のゴール)ですかね。

Jリーグでも見ることはありますけど、やはり数少ないシーンなので。あれが海外でやっている選手のミドルシュートの距離なのかなと感じました。

――あれが入った瞬間はやはり衝撃を受けました?

そうですね。あの正確性が、世界のレベルなんだなと。試合の時は思わなかったですけど、試合後にはそう思いました。

――日本代表のサイドバックとなると、Jリーグでの戦い方や世界の中での日本の立ち位置といった点から国内とはまた違うのかなと感じるのですが、そのあたりの「違い」についてはどうでしょうか?

違いというか、チームと代表ではメンバーも違いますし、組む選手も違います。

それぞれの特徴を生かさなければいけないので、そういうところは意識してやるようにはしていました。

――日本代表では、初招集されたジーコ氏からイビチャ・オシム氏、岡田武史氏、そしてアルベルト・ザッケローニ氏と様々な監督のもとでプレーしました。その中でも、今年5月に亡くなったオシムさん監督は駒野選手にとってどんな監督でした?

オシムさんは、特に練習ですね。オシムさんになって変わった練習が多くて、選手としてはすごく刺激になると言えばいいのかな。

自分の選手としてのことを考えれば、すごく今の自分の人生にも影響した監督だと思います。

――オシム監督に言われて印象に残っている言葉や思い出は今振り返ってどうです?

そう多く言われたことはないんです。プレーをしていて、良いプレーに対してはすごく褒めてくれます。

褒めてくれるというのも直接言われることはないんですけど、映像を見たりした時にすごく体で喜びを表現していたので、それを見ると「あ、喜んでくれた」とか「こういうサッカーを目指しているんだな」というのが分かりました。

――駒野選手は海外でのプレーを考えたことはありました?

はい、ありました。

――どこに行きたいとか、具体的なイメージも?

イメージはそうですね。ドイツとか。日本人に合ったというか、そういうリーグでやってみたいなという思いはありました。

――海外のサッカーは結構見ますか?

見ます。マンチェスター・シティとかが好きですね。

――シティのどの辺を見たりしています?

ポジショニングだったり、ボール回しだったり。「そんなところを見ているのか」とすごく驚かされますし、見ていて面白いサッカーをしているのでどうしても見てしまいますね。

――学ぶことも多い、と。

そうですね。一つ一つの技術もそうですし、連携だったり、そういったところですごく楽しませてくれるサッカーをしているので、見ていて全然飽きないです。

【動画】FC今治の駒野友一に日本代表とワールドカップを訊く!「冨安は高2の頃からすごかった」「スナイデルのシュートは…」

明日30日配信の後編では、駒野のサイドバック論やキックへのこだわり、クロスの際に「見ているところ」、さらには引退後のビジョンなどについて聞いている。こちらもお楽しみに!

今季の明治安田生命J3リーグでは8試合を残して6位につけるFC今治。今週末は10月2日(日)、11位のガイナーレ鳥取とホームのありがとうサービス. 夢スタジアムで対戦する。

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