神奈川初確認、ハヤブサ死骸から高病原性鳥インフル 伊勢原で発見

神奈川県庁

 環境省と神奈川県は29日、伊勢原市内で見つかった野生のハヤブサ1羽の死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)を検出したと発表した。県内での確認は初。国立環境研究所での遺伝子検査で判明した。

 県は感染拡大防止や野鳥の監視強化に努めるとした上で「鳥インフルエンザは通常、人には感染しない」として冷静な対応を呼びかけている。

 県によると、25日に伊勢原市内で衰弱したハヤブサが見つかったと連絡があり、県自然環境保全センター(厚木市)に持ち込まれた。26日朝にハヤブサが死んでいるのを確認したため、同センターで簡易検査を実施したところ、鳥インフルエンザの陽性反応を示した。このため、国立環境研究所で高病原性かどうかを含め確定検査をしていた。

 県は26日にハヤブサを保護した同センター内の救護施設やその周辺を立ち入り制限区域とした。施設内で飼育されていた鳥獣は殺処分した。

 ハヤブサが発見された半径3キロ以内の養鶏場への立ち入り検査も開始し、異常の有無を確認している。県によると、発見場所から半径3キロ以内には養鶏場が3軒ある。

 環境省は26日にハヤブサが発見された地点から半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定。県は野鳥の監視を強化するとともに、本庁や地域県政総合センターで、野鳥の不審死に関する電話相談を開始した。

 県によると、鳥インフルエンザは感染した鳥と密接な接触などがない限り、通常では人には感染しないという。鶏卵や鶏肉を食べることで人に感染することも世界的に報告されていない。黒岩祐治知事は「過度に心配する必要はなく、県民には冷静な行動をお願いする。感染拡大の防止に全力で取り組む」とのメッセージを出した。

 県は、国や関係自治体と連携して野鳥の監視強化や風評被害の防止に万全を期すとしている。

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