「Gメン’75」初期メンバー・岡本富士太が明かす伝説的ヒット作の撮影秘話!

東映チャンネルで現在放送中の「Gメン’75」は、警視庁の黒木警視(丹波哲郎)が編成した特別潜入捜査班・Gメンの活躍を描く作品。1975年5月~82年4月まで全355話が放送された、日本刑事ドラマ史に残る傑作だ。今回、本作に出演していた初期メンバーの岡本富士太に、当時について話を聞いてみた。

── 岡本さんは、「Gメン’75」の前番組「バーディー大作戦」(74年~75年)にも出演されていましたね。

「まずゲストとして出演して、第27話からレギュラーになりました。『バーディー~』で驚いたのは、主演の丹波哲郎さんが撮影に遅刻してくることと、セリフを覚えてこないこと。だから現場にカンペが置かれる(笑)。丹波さんは『カンペを見ながら芝居ができなきゃ一流になれない』とおっしゃっていましたね(笑)。でも、丹波さんは優しくて、スタッフさんにも気を配るし、自分以外の役者の不満を聞いて、なだめたりもしていました。丹波さんがいるから現場がうまく回る。主役、座長はこうでなければいけないんだなと思いました」

──「バーディー」が終了し、75年5月に「Gメン」が始まりました。オープニングを飾ったのは、岡本さんが演じられた津坂刑事を含めたGメンのメンバーが、滑走路を横一列に並んで歩く映像が印象的です。

「撮影が始まる前、深作欣二さん(構成担当、第16話などを監督)と鷹森立一さん(第1話などを監督)が『今までに見たことのない画を見せてやる』とおっしゃっていたんですが、それがあのタイトルバックでした。撮影は“陽炎(かげろう)待ち”があって苦労しましたね(苦笑)。滑走路に立ち昇る陽炎越しに僕らを撮ると告げられていたけど、いつ立つかは分からないですから」

── 津坂刑事は第104話で殉職し、岡本さんは番組から卒業されましたが、ご自身で決められたとか。

「丹波さんや監督さんたちにも相談した上で卒業を選びました。違う現場を経験したい、ホームドラマや時代劇にも挑戦したい。そう思っていましたし、実際にいろいろな仕事のオファーがあって、同時進行でNHKのドラマにも出演していましたし。実はその頃、NHKに『Gメン』のスタッフが僕のアップを撮りにやって来たことがありました。それがないとつながらないシーンがあるから撮らせてくれ、と(笑)」

── 殉職という形での卒業も、ご自身で選ばれたのですか?

「鷹森さんと、104話を監督した山内柏さんから言われました。『殉職した方がお前の中でけじめがつくだろう。津坂刑事はこの世にいなくなったんだ、と納得してから次の現場に行く方がいい』と」

── 殉職シーン以外で印象深いシーンやエピソードは?

「北海道の積丹半島でロケをした第30話。監督は鷹森さん。もう寒い季節でしたが、『海に入れ』と指示されて入ったんですよ(オンエアではカット)。でも海から上がってきたらみんな片付けを始めていて、誰も『大丈夫か』とか言わない(苦笑)。そんなことが何度もありましたが、『Gメン』の現場には美学がありましたね。靴の裏側は映さない、なるべく畳は映さない。刑事はアンパンを食べないし牛乳も飲まない。今までにない刑事ものにしたくて、泥臭さや生活感を出したくなかったんだと思います」

──「Gメン」を楽しんでいる視聴者には、本放送当時は生まれていなかった若い世代の視聴者も多いと思います。そういった方に向けてメッセージを。

「『Gメン』が始まったのは、僕がまだ20代だった頃。それから約2年、精いっぱい仕事に打ち込みました。手を抜くことなんか一切なく、いつも一生懸命だった。深作さんは一生懸命な人間を撮りたい方で、『いいところも悪いところも画面に正直に出る』とおっしゃっていました。演じる役者、撮るスタッフの熱みたいなものは画面から伝わるはずなので、それを感じていただきたいですね」

「Gメン’75」は、ハードボイルドタッチの演出、ド派手なアクション、ロケを国内各地のほか海外で行ったスケールの大きさで人気を集め、丹波、原田大二郎、倉田保昭、岡本、藤田美保子、藤木悠らキャスト陣の魅力も際立っていた。東映チャンネルで放送されているのは、“4KネガスキャンHDリマスター”による高画質版。美しくよみがえった街並み、生き生きとした表情などは見もの。また、関連番組にも注目だ。

【プロフィール】

岡本富士太(おかもと ふじた)
1946年11月21日生まれ。神奈川県出身。O型。主な出演作にドラマ「バーディー大作戦」(TBS系/74年~75年)、「大空港」(フジテレビ系/78年~80年)、「87分署シリーズ・裸の街」(フジテレビ系/80年)、「中学生日記」(NHK/89年~96年)、「高速戦隊ターボレンジャー」(テレビ朝日系/89年~90年)、大河ドラマ「西郷どん」(NHK/2018年)、「BS笑点ドラマスペシャル 初代林家木久蔵」(BS日テレ/20年)など。

【番組情報】

「Gメン’75」
東映チャンネル
木曜 午後3:00~5:00
※再放送は午前9:00~11:00

「シネマ☆チョップ!」
東映チャンネル
10月2日 午後4:00~4:30
10月9日 深夜0:00~0:30
10月11日 午後6:30~7:00
10月15日 午後0:30~1:00
10月22日 午後0:30~1:00
10月30日 午後1:30~2:00

「ピンスポ!岡本富士太インタビューVol.1」
東映チャンネル
10月6日 午後2:50~3:00
10月11日 午後11:50~深夜0:00
10月27日 午後2:50~3:00

取材・文/佐藤新 撮影/蓮尾美智子

東映チャンネル 視聴案内/https://www.toeich.jp/guide/info

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