観光庁長官表彰発表。観光に明るい兆し

 国連総会出席のためにニューヨークを訪れた岸田文雄首相は、現地時間の9月21日(日本時間22日)、新型コロナウイルス感染症の水際対策を10月11日以降、さらに緩和する意向を表明した。訪日観光客のビザ取得免除や個人旅行も再開される見通しで、観光関連業界にもようやく明るい兆しが見え始めてきたようだ。

 そんな中、観光庁が21日、今年度の「観光庁長官表彰」の受賞者を発表した。

 同省は魅力ある観光地づくりやその魅力の発信など、観光の振興、発展に貢献した個人及び団体に対し、その功績をたたえるべく毎年実施されているもので、第14回となる今回は、6つの自治体や団体、企業などが選出された。

 受賞者の一つである「北海道ニセコ町」は、持続可能な観光地づくりを目指して、ニセコ町観光振興ビジョンを策定し、アンケート調査やSDGs研修、シンポジウム等を実施。地域が連携して推進したことが評価された。同町では、新たにサステナビリティ・コーディネーターを採用し、国際基準に照らし合わせながら町の取り組みに対するアセスメントの作成や改善の提案・情報発信等を行っている。

 また、官民連携による歴史的資源を活用した観光まちづくりや、日本初の城泊・大洲城キャッスルステイなどに取り組む「一般社団法人 キタ・マネジメント」は、得られた収益を地域に再投資して継続的に自立・自走できる地域づくりを実現している先進的な重点支援DMOとしての活動が評価され、受賞となった。LINEと連携した「大洲パスポート」を導入して地域内回遊を促進するなど、オリジナリティ溢れる企画を多数展開しており、今後の展開も楽しみだ。

 そして、大手住宅メーカーの積水ハウス<1928>と世界を代表するホテルチェーングループのマリオット・インターナショナルは、両社が共同で進めている地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」の取り組みが評価されての受賞となった。

 誰もが旅先で一度は立ち寄ったことがあるであろう「道の駅」を拠点に、宿泊特化型ホテルを展開。これまで、フェアフィールド・バイ・マリオットのブランド名で7道府県18か所を開業し、地域に人が集まる仕組みを構築している。雇用も地元を優先し、U・Iターンの受入れにも取り組んでいる。同事業は2025年には26道府県で約3000室規模へ拡大していく予定で、既に全国の企業48社とともに地域での新規事業開発を行うなど関係人口増にも寄与している。コロナ禍においても地域経済の活性化に貢献してきたが、これから海外観光客の受け入れが緩和されていけば、日本の新しい魅力を求める海外からの旅行者からも人気を集めそうだ。

 コロナ禍で大きな打撃を被った観光業界だが、コロナ禍だからこそ、試行錯誤の中で生まれた観光コンテンツも多い。一日も早く、コロナ禍以前の賑わいを取り戻せることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)

積水ハウスとマリオット・インターナショナルが展開する地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」 旅の拠点となるホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」

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