【くろしお】地球のミライ

 県内の12会場で6月に開かれた「教科書展示会」で今の子どもたちが使っているいろんな科目の教科書を見た。特に印象に残ったのは英語。会話文が、昔とは比べものにならないくらい実用的になっていた▼それ以上に隔世の感を禁じ得なかったのが挿絵だ。白人、黒人、ヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭に巻くスカーフ)をまとった子どもも。実にいろんな人種や民族が登場している。全員が白人だったか否かは記憶があいまいだが、昔はここまで多彩ではなかった▼この挿絵と同様の絵を見つけた。宮崎市の宮日会館パピルスギャラリーで18日まで開催中の「ユニセフ『地球のミライ わたしたちのミライ』絵画展」だ。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに、県内の小中学生から寄せられた95点が展示されている▼作品の多くに描かれているのは、人や動物、さらには植物など自然が調和した明るい「未来」である。その一部は、まさにくだんの英語の教科書のように、さまざまな人種・民族の子どもが描かれている。主催する県ユニセフ協会が設立されて今年で20年。作品展はその節目を記念して企画された▼もちろん希望に満ちた世界だけではない。今のまま進んだ先にある厳しい世界を描いた作品もあり、それもまた見応えがある。「ぜひとも“明るい方”の未来が子どもたちを待っていますように-」。そう願いながら、力作の一点一点をじっくりと鑑賞した。

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